第五話
「ジル!!」
「なんでしょうかお嬢様」
お嬢様とのピクニック?からしばらくしてお嬢様が走りながら私の名前を呼び近づいて来ます
ああ、今日もお嬢様はお美しい・・・
お嬢様は私の前で止まると下から覗き込むように
「今日はね、街に買い物に行きたいの!!」
「買い物ですか?商人を呼びますか?」
「んん、街で買い物がしたいの」
「かしこまりました。ではセバスさんとミッシェルさんに伝えて馬車と護衛の準備をいたします」
「違うの!!今日はジルと二人で買い物に行きたいの」
「私とですか?」
「そう!!この本「聖女の冒険」に出てくる聖女セシルみたいにお忍びで買い物がしたいの!!」
お嬢様の言葉に思わす私は天を仰ぎました。
またその本ですか・・・
この間の魔物討伐の原因もその本でしたよね?
公爵令嬢がお忍びでとか危険しかありませんよ!!
しかも私と出会った時も確かお忍びで買い物している時だったと伺っています(セドルさん情報)
しかし・・・
「じ~~~~~~」
答えあぐねる私をお嬢様は「じ~」と声に出しながら見つめてきます。
なにこれかわいい!!
本を両手に抱え見上げながら口でじ~ってかわいすぎるでしょ!!
ああ、今すぐ抱きしめたい!!
しかしこの願望を叶えてしまえば後ろでじとーっと私を見ている侍女さんに取り押さえられセドルさん達の通報されてしまう。
私は理性を総動員しお嬢様に笑顔を向ける
「わ、わかりました。ですがま旦那様にご許可を頂かないと」
「あ、お父様はいいって言ってくれたわ」
おい!!旦那様!!
貴方止めないでどうしますか!!
旦那様はお嬢様を溺愛されていますから分かってはいたのですがね?
それでもさすがに護衛なしで街に行くことをお許しになるなんて・・・
馬鹿ですか??
「お父様はジルなら任せられるって承諾してくれたんだよ?」
「旦那様・・・」
馬鹿とか言ってすいませんでした!!!!!
一生ついていきます!!
旦那様からの信頼を無下にはできませんね!!
「わかりました!!このジル全力でお嬢様をお守りいたします!!」
何よりお嬢様が悲しんでいるお顔なんて見たくありませんしね
「ありがとう!!あ、お忍びだから執事服じゃなくて一般の服にしてね?それじゃ1時間後にエントランスで待ち合わせね!!」
そう言ってお嬢様は嬉しそうに行ってしまわれた。
私はお嬢様の姿が見えなくなるまで笑顔でお見送りし、姿気配が完全になくなったの確認すると
「私服?どうしよう、私服なんてもってない!!」
そう私が持っている服などこの執事服と訓練用の服しか持ち合わせていない。
もちろん公爵家からお給金は頂いておりますが、今まで特に必要なかったので気にも留めていませんでした。
どうしましょう?今から仕立て屋に行くにしても時間が・・
「お困りですな」
「せ、セドルさん!?」
頭を抱えそうな私の前にセドルさんが現れた。
少しあきれ顔でしたが・・・
セバスさんは息を吐くと
「あれほど私服を用意しなさいといってあったはずですよ?」
「すいません、まさか必要になるとは・・・」
「お嬢様を今後お嬢様が成長していくにつれて、このような状況が多くなるでしょう。場合によっては平民の服装で隠密行動も必要になってきます。そのため服は常時15種類は用意しておきなさい」
「はい、すいませんでした」
「よろしい、今回は時間がありませんのダリア」
「はい」
「だ、ダリアさん!?」
セバスさんが呼ぶとどこにいたのかダリアさんが現れた。
「お嬢様の用意は?」
「お嬢様付の侍女数名で準備していますので問題ありません」
「よろしい。お願いしても?」
「お任せください。ジル」
「はい」
「今回は私が用意します。ついてきなさい」
「ありがとうごっざいます」
こうして私はダリアさんに服を擁していただいたのでした。
★★★
ダリアさんに用意して頂いた服を着用した私はエントランスにてお嬢様を待っていた。私が用意しているうちにセバスさんが馬車の手配などをしてくれおり、私がやれることはここでお嬢様を待つしかやることがない。セバスさんとダリアさんにはお土産を用意した方がいいかもしれない。ダリアさんが用意してくれた服は一般的な黒のズボンと白のシャツ、それと黒の帽子だった。
一応お嬢様との外出なので待っている間何度も全身チェックを行う。
そしてついに
「ジル!!」
エントランス正面にある階段から天使が舞い降りた。
お嬢様は白のワンピースに薄い水色のカーディガンを着用しておりご本人の容姿も相まって神秘的な雰囲気を醸し出している。
8歳でこれである・・
お嬢様が成長した際には様々な有象無象どもがお嬢様に恋焦がれ群がってくることだろう。私がお嬢様をお守りしなくては!!
私は内心決意しながら私の前で立ち止まるお嬢様に笑顔を受けべ
「とてもお似合いですお嬢様」
「ありがとう!!」
「シス達が張り切ってくれたの!!ジルもその、か、かっこいいよ」
「ありがとうございます。ダリアさんが用意してくれまして」
「ダリアが?なんで?
「お恥ずかしい話なのですが、私服を用意していなかったものでして・・」
「え?ジル服ないの??」
「はい、今まで必要がなかったので」
「じゃ、今日買ってきましょう!!私がジルの服を選んであげる!!」
「お嬢様がですか!?そんな、私ごときの服などをお嬢様に」
「いいの!!私が選びたいのだから!!それともいや?」
「そんな滅相もない!!至上の喜びです」
「し、至上?よくわからないけど嬉しいってことよね?」
「そのとおりです」
「じゃ決まりね!!時間が無くなったちゃうから早く行きましょう」
「かしこまりました」
こうして私とお嬢様のお出かけが始まったのであった。
お嬢様が恋をしたそうです。 @masaki213856
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