第4話

「お嬢様お下がりください!!」


すぐさま副団長のドルフさんが駆け付けお嬢様を庇うように立つ、その周りにリリスとカッシュの二人が立つ、護衛として当たり前の行動である。

ただ一つ聞きたい・・

なぜ私が一番先頭なんですか!?

ふつうこういった場合戦闘はドルフさんでしょ!?


「ジル!!やっちゃえ!!」


お嬢様からの応援、ありがとうございます!!

その一言で私頑張れます!!


決意を決めた私h前を向きます。

迫ってくるのは狼が魔物化したウルフ達、合計10匹でしょうか

私は指先に魔力を溜め魔法を発動します


「迅雷」


魔法には火・水・土・風・雷の5つの属性があり、人間は人それぞれに適性がありその適正の属性の魔法しか使うことができない。さらに一人が使える適性が一人一つが基本で複数持っている人間は稀というのが世界の基本である。


私が発動した迅雷は体に雷の魔法を纏い全身の反射神経と打撃時の威力を上げる魔法である。俺が迅雷を発動したと同時にウルフ達が私に襲い掛かってきた。


「せいっ!!」

「きゃっつ!!」


飛びかかって来た一匹に上段蹴りで一蹴


「はっつ!!」

「くっつ!!」


次に来たのを正拳突きで一撃

雷魔法の特性はその攻撃力にある。

他の属性と比べても断トツの攻撃力を誇る。

個人的には諜報など幅広く応用が利く風特性がよかったがこればかりは仕方ない

とまそんな調子で次々襲い掛かってくるウルフ達を殲滅していくのであった。


★★★


「ジルすごい!!」

「ありがとうございます」


すべて殲滅し終えるとお嬢様よりお褒めの言葉を頂いた。

このために私は生まれてきたのだろう


「まだまだですね、帰ったらまた扱いてあげましょう」

「ら、ドルフさん・・」


感動に胸を震わせていると副団長のドルフさんが話しかけてきた

私の武術教師担当は団長のミッシェルさんだがその補佐としてドルフさんも参加する。その時の扱きといったら・・・思い出すのも嫌になる

ドルフさんの言葉にあいまいに笑みを浮かべながらなんとか回避出来にか思案する私であった。


その後はお嬢様の護衛をドルフさんに任せ、リリスとカッシュと共に私が倒したウルフの片づけを行うのだった。


「いやしかし相も変わらず鬼神ぶっりだったな~」

「ほんとよね~私じゃあそこまで手際よく裁けないわ」

「いえ、私など、まだまだですよ」

「謙遜すんなって」

「いえいえ、謙遜など」


本当に謙遜などではない

騎士団長のミッシェルさんやドルフさんの強さを目のあたりすれば誰もふぁ力不足を痛感するだろう。

まああの二人は特別な化け物なのかもしれないが、お嬢様を守るためにはもっともっと力が」必要だと思う。

公爵令嬢、味方もいるがそれ以上に敵も多いことだろう。そんな者達からお嬢様をお守りするのが私の役目です!!

私は決意新たに掃除にいそしむのだ。

・・・でもドルフさんお扱きは勘弁願いたい。死にたくないもん。


★★★


バラード公爵邸使用人専用会議室


「教育を始めて3年、彼はどうかな?」


会議室の上座、そこに座るバラート公爵家現当主ハロルド・バラードは手を前で組み部屋に控えていた三人の筆頭使用人達に尋ねる。


最初に答えたのは執事長のセバス


「執事教育は滞りなく終了しております。あとは暗部の教育のみです」


セバスの言葉に満足そうに頷くハロルド

次に口を開くのは侍女長のダリア


「マナー教育も終了しております。彼はお嬢様に心酔している様子。裏切る可能性はないかと」

「ふむ」

「また、彼は孤児です。身元も洗いましたが他家の間者の可能性もないかと」

「わかった」


そして最後に騎士団長のミッシェルが答える


「私の教育も終了しておりますぞ!!あやつはかなりの逸材ですぞ!!お嬢様が欲しがらなければ騎士団でほしい所です。騎士団の連中も皆アレを気に入っております。特に副団長のドルフが手塩にかけて育てましたからの、魔法に関してなら私をも超えるかもしれません」

「ふむ、お前たちの意見は聞いた。このままクラリスの傍に置いておいて大乗そうだな。しかしクラリスは・・・」

「なんとっ!?」

「まさか!!」

「ははは!!お嬢様は実の慧眼ですな!!」


ハロルドの説明に各々が驚きの声を上げた。


「うむ、しかしこちらにも事情がある。かわいい娘の頼みとは言えさすがに聞くわけにはいかん。いまのままではな」

「そうですな」

「なので彼の教育はこのまま続けよ。そしてクラリスが10歳になった際に学園に一緒に行ってもらう」

「なるほど、確かにそれならば可能性が出てきますな」

「うむ、私としてもクラリスに嫌われたくはないからな」

「ふふ、旦那様はお嬢様に甘いですわね」

「そりゃ、あの子はヴィオラの宝だからね」

「ははは、しかしそれでも猶予はあまりないでしょうな。すでに打診は来ているのでしょう?」

「ああ、5年前くらいからしつこく来ている。まったく、諦めればいいものを!!忌々しい!!」


ハロルドは何かを思い出し強く机をたたく

そして強く息を吐き冷静さを取り戻すと


「とにかく、バラード公爵家は方針を変えん!!すべてはクラリスのために」

「「「かしこまりました。旦那様」


こうしてジルの知らぬところで大人たちは悪だくみするのだった。



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