第3話
魔物、それは魔力を吸収し暴走した獣
この世界には魔法があり、人々の生活の根幹になっている。
魔法は人々の生活を豊かにしてくれる大変ありがたいものだが、魔法が与えるのは幸福だけではなかった。空気中には魔法の源である魔素が漂い、その魔素を利用し魔法を使用することができる。
しかし、どんなに便利な力も使い方だ。
人間が魔法を使い発展していく中、それと比例するかのように動物達が魔物化していくという現象が発見された。なぜ動物だけなのか?その理由は未だ世界の謎として研究されている。
ただ一つ言えることは魔物は高い戦闘力を有しており間違っても貴族令嬢、それも貴族位の頂点である公爵令嬢が討伐に行くようなものではない・・・
「お嬢様?聞き間違いですよね?今魔物退治と聞こえたのですが?」
「間違いじゃないよ?最近公爵領近隣の森に魔物の目撃情報が挙げられているの。貴族たるもの領民の不安を払拭しなくちゃね!!」
「ですが、それは領兵がすることでして、お嬢様がするようなことではありません」
「ジル聞いていなかったの?貴族たるもの領民の不安を払拭しなくてはならないの、それに」
「それに?」
「この本の主人公、聖女セシル様は5歳の頃より民のため魔物を退治していたのよ?私はもう8歳、彼女にできて私にできないわけが無いじゃない!!」
お嬢様が高らかに出したのは今町で人気の娯楽本「聖女セシルの冒険」だった
いや、それ作り物だから!!
その後何とか説得を試みたがお嬢様は納得されず、果てはあ夜中に一人で行くわよ?と脅してきたため押し切られてしまった。
至急セバス様に報告するとおお嬢様の言う場所には魔物は居らず軽いピクニックになるだろうと少数の護衛を伴い屋敷を出たのだった。
★★★
「うーん!!気持ちい!!ね、ジル!!」
「はい、お嬢様}
空は晴天私達は今お嬢様が指定した森の中、ではなく見渡す限り原っぱの草原にいた。
なぜ草原なのか?
それは森に行く途中お嬢様が
「ジル見て!!気持ちよさそうな原っぱ!!あ、あそこにお花も咲いてる!!行きましょう!!」
とおしゃっとので予定を変更し原っぱでの小規模なお茶会になったのだ。
「ジル、見て!!お花の冠!!」
「お上手です。お嬢様」
本日のお嬢様は白のワンピースに黄色の帽子と愛らしい恰好をしている。
とても魔物討伐に行くような恰好には見えない・・・
ちなみに私は執事服だ。
執事にとって執事服こそ戦闘服とは師匠のセバスさんの言葉
それと護衛として騎士が3人、副団長のドルフさんとお嬢様専属騎士候補のリリスとカッシュである。リリスとカッシュは私と同じ年で二人は幼馴染、お嬢様の遊び役兼護衛になるべく今は修業中なのだ。
三人はお嬢様と私から少し離れた所で警戒してくれている。
つまり現在お嬢様と私は二人で遊んでいるのだ。
お嬢様の嬉しそうな笑顔を見るたび私の中で幸福感が広がる
ああ、なんと愛らしいんだ・・・
私は幸せ者だ
このような素晴らしいお嬢様にお仕えできるのだから・・・
「ジル、ありがとう」
「お嬢様?」
「私のために辛い修業を頑張ってくれて。貴方が私の専属執事でとても誇らしいわ」
「お嬢様・・・」
なんと、なんと慈悲深いのだろう?
これが本当に8歳の女の子なのか?
私はお嬢様の下で跪き、
「私の方こそ貴方のような素晴らしい主様にお仕えできて幸せであります。私はお嬢様の盾であり剣です。何者からでもお嬢様をお守りいたします事を誓います。なんなりとご下命ください。我が主」
私は決心した
お嬢様を必ず幸せにすると、どんな災厄・不条理からもお守りしお嬢様が笑って過ごせるよう尽力していくと!!
「うん。ありがとう!!じゃ、とりあえずあそこの魔物討伐お願いね」
「え?」
お嬢様が指さす方へと顔を向けるとこちらに走って向かってくる魔物の集団が見えたのだった。
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