世界が消えた日
柊
第1話
⧉ ⧉ ⧉
今朝起きると世界は消えていた。
いつもみじかにいた家族も飼い犬も全てなくなっていた。
町中を見てもいつも沢山歩いている見知らぬ人でさえ誰もいない。
学校に行っても誰もいない。
いつも朝学校に行くと教室の真ん中で騒いでいる子達もいない。
有るのは誰もいない静かな教室。
静かな授業中に聞こえる鳥の囀りでさえ聞こえない。
誰もいない世界はとても静かで、椅子を引いて立ち上がるだけで ガタッ という音が外まで響く。
いつもは入ってはいけない屋上の鍵をとった。
屋上には何もなかった。
風も何も感じない。
下を見下ろしても、空を見上げても生き物がいない。
屋上だろうが地上だろうが同じ地面に感じる。
この誰もいない良い機会に好き放題してみることにする。
一旦家に帰り自転車でいつものスーパーまで行った。
人がいないスーパーはいつもは近づかないと聞こえない冷蔵庫の音が聞こえた。
電気は動いているらしい。
スーパーに行ったのは、
「死ぬまでに一回、店のなかの物をお金を払わずにその場で食べまくる。」
ということをしてみたかったからだ。
誰もいないから何をしようが自由だが、タダで食べるのは流石に気が引けた。
今後の分も考えて一応おおよその金額をレジの上に置いた。
人がいない今、好きなだけ好きな物を食べまくれる。
朝飯を食べていないから一旦冷凍食品の置かれている冷凍庫に行った。
冷蔵庫から食べたい物を出し、電子レンジで温めて食べた。
朝飯を食べ、デザートを食べるために自転車で近所のケーキ屋まで行った。
ケーキがショーケースにきっちりとぱんぱんに並べられていた。
レジにお金を置き、ショーケースの裏にまわり、好きな物を好きなだけとった。
ケーキは公園で食べよう。
人がいなければ、他の動物ももちろんいない。
いつも足元にいるはずの蟻でさえいなかった。
世界が消えた日 柊 @pe__nuts
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます