第7話 終わり
身体に衝撃が走り、調子の悪い椅子がガタンと揺れた。ゆっくり、ゆっくりと目が開く。それと同時に口を開けたまま、俺は魂をローディングする。少しずつ、少しずつ、現実を認識し始める。俺はいま、椅子に座っていて、目の前には必要以上に物のある机、電源が入っているパソコン。いつも見ている景色。
俺は自分の部屋にいた。
背もたれに預けていた身体を起こそうとすると、首がじわりと痛む。右胸のあたりがジメジメと濡れている。よだれでも垂らしたのだろうか。
うたた寝。でも確か、俺はどこかにいたような。どこだっけ。さっきまで存在していた記憶が、まるで入浴剤のように溶けていく。電灯。その映像だけが、溶けきらなかった粒のように、俺の中に残っていた。
俺は、あぁそうだ、エロゲーをやってたんだ。パソコンの画面を見ると、どこかで会ったような美少女が、顔を赤くして目線を下方に向けている。
「は、はじめまして。時田、沙織です。よ、よろしくお願いします。」
画面下半分にある四角いウィンドウに、丸くて読みやすい文字がピンク色で書かれていた。
バカのままで 山田 @genziro
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