エピローグ

「ドナーになられた方、ドナーの家族さまへ

 今回、臓器を提供して下さってありがとうございます。ドナーの方には伝えることが出来ませんが、本当に感謝しています。

 少しばかり自分の話をさせてください。俺は十七歳の未成年です。小さい頃から病気で走ることも許されていませんでした。走ると心臓が悪くなり、直ぐに発作が出てしまっていたからです。ですが、移植手術を受けられると聞いて病気の体から解放されると思った時、嬉しい気持ちになりました。家族さまには申し訳ないです。

 勝手な想像になってしまうのですが、ドナーになられた方は自分が亡くなることを考える時、この決断をするのに、とても悩んでいたのではないかと思います。それに勇気がいると思います。臓器提供をして下さった方は俺と同じ年齢とだけ聞きました。きっと、とても優しい方なんだなと思ってます。臓器を提供するぐらいです。

 誰かを犠牲にして生きたくないと思っていましたが、提供して下さった方はそう思ってほしくないと思っているでしょう。だから、生きようと思います。

 勝手ですが、どうか、ドナーになった方のことを恨まず強く生きてください。

 八月  十三日」

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