証拠と帰宅。

ほんの少しのイラつきを胸に秘めながらレオに耳打ちをして【証拠】を持ってくるように伝える。


その間王子は凄い剣幕でこちらを見ながら怒鳴っていたけど私にとってはどうでもよかった。


レオの持ってきた封筒を開封して生徒会にだけ見えるように提示する。


その瞬間王子とヒロインは黙り込み後ろの生徒会メンバーは驚愕のあまり言葉を失っていた。


そりゃまぁ、、一国の王子であり優秀と言われていた彼がこんな不貞を働いてたらねぇ…?


信用なんてガタ落ちだよね。


きっと私は今とても健やかで良い笑顔を彼に向けていると思う。


そんなことを考えながら封筒を押し付けてレオと共に外に待たせている馬車に乗り込む。


「ヘンリー、出してくれる?」


馬主のヘンリーに声をかければ「了解」という声の後馬が走り出す。


そして暫くして…公爵邸まで着いた私は馬車から降りてレオと共に部屋へ戻る。


メイドにお父様の帰宅時間を聞けば夜遅くなると言う。まぁ、いつもそうだし仕方がないのか…


そう思いながら用意してくれたおやつをレオと共に食べる。


因みに今更な気もするがレオは従者であり、私の幼馴染でもある。


その為、普通の令嬢と従者の関係を超えてしまっているのは仕方がないのだ。


そんなことを考えながらぼーっとしていればメイドが「旦那様がお帰りになられました」と私を呼びに来る。


「もう?」


「学園での騒ぎを聞き付けて急いで帰ってきたみたいです」


「…分かったわ。すぐ行く。」


因みに私は執務室に怒られに行くのではない。愚痴を聞いて貰いに行くのだ。


我が父は子供の私から見ても親バカなので寧ろ王子への制裁を考え始めるだろう。


万が一そうなったら流石に止めなければいけない…なんて思いながら執務室の扉をノックする。


「入りなさい。」


圧のある低い声が聞こえ「失礼します」と言いながら部屋に入る。


扉を静かに閉めてから「座りなさい」と言われたあとソファに腰をかける。


「サーシャ。言いたいことは分かるな?」


「ええ。分かりますよ。お父様」

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婚約破棄されたのは前世の記憶をもった自堕落ニートでした。 @rinrin08190114

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