婚約破棄されたのは前世の記憶をもった自堕落ニートでした。

@rinrin08190114

前世の記憶と婚約破棄。

私、アレクサンドリア・レーニシャはアドナー国の公爵令嬢である。そして悪役令嬢でもある。


何故自覚があるのか…と問われれば簡単には説明してしまえば前世の記憶を持っているからだ。


ここで信じられない者も多いだろうがこれは事実である。


あれは五歳ほどの頃…


現在婚約しているこの国の第一王子アルバート・アドナー様と初めて顔合わせをしたとき一目惚れという奴をした私はよろけてうっかり頭を強打してしまった。


その時頭に流れ込んできたのが前世の記憶である。


私はそこで思い出したのだ、自分が前世有名大学を出たくせに適当に稼いだ資金でニート生活をしていたことに。


そしてそのニート生活の間ハマってしまったゲームの世界に転生してしまったのだと…。


自覚してからは何かをするわけでもなく時の流れに身を任せ生活してきた。


そして現在、私は断罪イベント中である。


学食のカツカレーを従者であるレオと頬張っていたところ王子率いる生徒会が乱入してきたのだ。


普通令嬢の食事中に乱入してくるだろうか…


ゲームではもっとかっこよく断罪していた気がするのだけど…


そんなことを考えながら口元を拭いて生徒会御一行様に向き直る。


あんだけ妹を溺愛していた兄や従弟もあっさりと寝返るものなのか…なんて考えていれば王子は要約口を開いた


「サーシャ…いや、アレクサンドリア・レーニシャ!」


「はい?」


「君との婚約を破棄させてもらう!」


王子のその一言で食堂がざわつきだす


勿論後ろに控えていた兄や従弟殿も初めて聞いたらしく驚いていた


何も聞かされずに生徒会引き連れてくるのは相当な馬鹿なのだろうか…


呆れながら


「婚約破棄は構いませんが何が理由ですか?」


私がそう聞けば


「もちろん…男爵令嬢であるマリア・ロセッティをいじめたからだ」


驚くほどゲーム通りのセリフに思わず笑いそうになる。


因みにだがマリア・ロセッティと呼ばれた男爵令嬢は言わずもがな乙女ゲームのヒロインである


まぁ中身は私と同じで大分違うようだが…


王子の名前を気やすく呼び抱き着くヒロイン殿に思わずため息が出る


因みに私自身これっぽっちも王子に興味がないため譲る選択肢しかないので婚約破棄は喜んで承諾しよう


まぁ王子の後ろにいる我が兄と従弟殿は何か文句を言いたそうではあるが…


「お嬢…言い返さなくていいんですか?」


レオも文句があるようだ…しかしまぁ


「いいわよ、別に。婚約破棄なんて大したことじゃないわ。それに傷心中の令嬢であれば社交界に出ないで済む口実になるでしょうし…」


ニート生活が再びできると考えれば中々いい話である


私の家自体公爵家と言っても兄二人がいるから跡継ぎには困らないし婚約破棄くらいで家を追い出すような真似はしない家であるため何も損はない


それに私の家であるレーニシャ公爵家は現在最も政治力もあり財力もあるため一人娘の汚名など気にも留める必要がない。


というわけで


「いじめは認めませんが婚約破棄は承諾しますわ。後日正式な書類と…慰謝料を請求いたしますわ」


「なに…?慰謝料だと…?」


「はい。当たり前でしょう?」


「婚約破棄は和解の元で行われる…慰謝料は必要ないだろう」


「いいえ、そのことじゃございません。アルバート・アドナー様が【他のご令嬢と逢瀬】…つまり浮気をしていたことに対する慰謝料です。因みに言い訳は無駄ですわよ?こちらには優秀な人材がいましてね?


全て証拠はございます」


そういって笑えば虚言を吐くなと罵倒され始める。


ならここで提示してしまおうか?


婚約破棄前に王子とヒロインがお忍びデートしたり、抱き合ったり、キスをしている写真を。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る