総務の仕事

「創立10周年を記念して、社名、社章、ロゴ一切を一新することになったのは知っての通りだ。大変だが、総務部門にとっては一世一代の大仕事だ」

 ある日、職場の上司が朝礼で話し始めた。

「ヒロシ君、君には社章のデザインをぜひ担当してもらいたい」

「え?」

「入社試験の時に君のデザイン画をたくさん見せてもらったよ。いいじゃないか。現代的なセンスと伝統的な意匠が共存している。会社のイメージを伝える斬新なデザインを考えてくれたまえ」

 ヒロシは慌てて否定した。

「いえ、僕は……。僕には無理です!」

「そんなことはない。君のデザインを見ていると、何ていうかこう、引き込まれそう・・・・・・・になるんだ。違う世界に・・・・・連れて行ってくれそうな、そんな感覚を覚えるんだよね。私の目に狂いはない。思いっきりやってみなさい。責任は私がとる!」

 ヒロシは絶叫した。


「あんたに責任とれるわけないだろうー!」


(完)


――――――――――

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

本作は「カクヨムコン8」短編部門/現代ドラマ・ホラーにエントリーしております。


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ザ・ホワイトノイズ 藍染 迅@「🍚🥢飯屋」コミカライズ進行中 @hyper_space_lab

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