例えて言うなら平安の闇を翔けるひとすじの巨大隕石流れ星。
歴史、伝奇、まじない、文化、美少女、十二単の悪役令嬢、和歌催眠ラップ、女装青年……トップクラスの文章力と描写の空気感が震いつきそうな匂いとあでやかな色あいで伝わってきます。
レーダーチャートでいうなら
キャラ5
文章力5
私は何を読んでるんだの呆然力5
掲載分の最後まで一息に変わらず読ませる吸引力5
なにこの肉食イケメン好き❤️(美少女)5
美青年の女装は正義100
周辺に配置されたキャラクターの個性があまりにもキラキラと強すぎるあまり、主人公(ですよね?)の弘徽殿の女御が悪役令嬢を企む超美少女才媛であることすら霞む正統派ヒロイン状態。お召し物もみなさん素敵で、まさに百花繚乱。
読んでいてなにより感じたのは安定感です。文章作りが単調でない上に語彙も豊富なので、想像力を掻き立てられながらもとにかく読みやすいです。テンポよく読めるように語感をちゃんと気にかけていらっしゃるのかな、と勝手に感じておりました。
文章の上手さだけでなく、世界観も好みです。私は中世日本史については知識不足で、初めは読むのに少し気後れしていたのですがそれでも問題なく面白かったです。他作品の名を上げるのは失礼かもしれませんが、読んでいて手塚治虫の「どろろ」に似た物騒さや血生臭さを感じ、自分は存外こういうタイプの世紀末感が好きなのだと気付くことができました。
キャラについても主人公犬君の奥ゆかしさは世界観を際立たせていて、相棒トニの可愛さ逞しさも良いアクセントなので読んでいてなかなか疲れません。
犬君が色気のある坊さんなのが、個人的にかなり好みです。(笑
私主催の自主企画に参加してくださった際にお見かけして読んだのですが、現在数ある参加者の中で個人的に最も印象に残っている作品です。ただハマった分だけ言葉を選ぶのが難しかったので、最初に見かけた日から遅ればせながら、続きを読んだ勢いそのままにこうしてレビューを書かせて頂きました。
長くなりましたが、今後も是非頑張ってください。応援させて頂きます!