君がいた夏は灰色の青春の中

若い画家のドキュメンのような作品。
本作のような話を高校生がさらりと書くのかと思うと、感慨深い。

無駄に説明するのではなく出来事を描く書き方だから、絵画に込められた画家の思いを、絵そのものをみていない読者にも、じんわりと伝わってくるのだろう。

大輪の打ち上げ花火を『追憶』は、彼女が描いたの打ち上げ花火、白黒の線香花火を『青春』は、彼女への追悼を込めて描いた花火を指している。

「線香花火は正しく私の瞬きのような時間でした」
主人公にとって彼女と過ごした時間はまさに線香花火のようで、今も色褪せず胸の中に残っているのだろう。