澄んだ言葉でさり気なく見つめられて行く詩的フェティシズム漂う恋愛掌編。

私たちが普段食べている苦瓜は、全く熟れていない。熟れていないから苦いのだ。
実った緑の苦瓜を収穫せぬまま育てていくと、それは徐々に熟れ、オレンジ色に染まっていく。
熟れた苦瓜の種は赤く、周囲にゼリー状のものを纏っている。
そしてそれは、驚くことに甘いのだ。
しかしその熟れた苦瓜すらも刈り取らねば、苦瓜は三つに裂けて赤い種を地面に蒔く。   (作者の紹介文より)