第164話 小説投稿100日目
小説投稿100日目
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あと3日で『闇の隠者』が行っている『魔境開拓』の訓練を終えるという時、ビジイクレイト達は『黒猫の陰影』のリーダーであり、『魔境開拓』の訓練では教師役も務めているスカッテンに呼び出されていた。
「……訓練終了?」
そこで聞いた意外な言葉に、ビジイクレイトと共に呼び出されていたサロタープ、ナナシィ、モゥモがそろって驚く。
『久しぶりの更新で、これエタッていなかったんだと驚いているのは僕の方だよ主』
『うるさい。そんなことよりスカッテンの話だ』
ビジイクレイトの隣で浮いている、小さな本、マメのよく分からない発言を無視して、スカッテンの話を聞くことにビジイクレイトは集中する。
「ああ、突然で悪いが、ビジイクレイト達には訓練を終えて、正式に冒険者として依頼を頼みたいと思っている」
「……魔聖石は?」
この『魔境開拓』の訓練では、成績優秀者に『魔聖石』が贈られることになっている。
ビジイクレイトやサロタープは、すでに『魔聖石』で得られる『神財』を持っているため、あまり必要としていなかったが、ナナシィやモゥモは、『魔聖石』を手に入れるために、頑張ってきたはずだ。
そう思い、ビジイクレイトは彼女たちに目を向けるが、ナナシィもモゥモも、特に悔しそうな顔はしていなかった。
「あー……話してもいいか?」
「構いません。一緒に訓練をして、お二人が信頼出来る方だと知っていますから。それに、お二人とも、私たちと似たような立場みたいですし」
「似たような?」
「そうだ。ナナシィもモゥモも、『神財』を持っている」
「えっ!?」
ビジイクレイトとサロタープは、驚き、顔を見合わせる。
「つまり……ナナシィさんも、モゥモさんも貴族ということですの?」
「いえ、そういうわけではないのです。ただ『魔聖石』を使って、『神財』を得る機会があったというだけで……」
ナナシィはモゥモと目を合わせて、頷いた。
「私の『神財』は……」
「……いや、それは話さなくてもいいです。『神財』については、隠しておくべきでしょう。貴族なら見栄のために能力を誇示することはありますが……今は平民なのでしょう? でしたら、隠しておくべきです。切り札は、知られていない方が良い」
「しかし、これから行動を共にするのですから……」
「もし『神財』を使わないと切り抜けられない状況になったら、仲間とか気にしている場合じゃないと思いますよ?」
ビジイクレイトの意見に、ナナシィとモゥモは悲しそうな顔を浮かべる。
『主よ。彼女たちの『神財』については聞いておくべきではないのかい? 知っていると知らないとでは、出来ることが限られるだろう?』
マメの真っ当な意見に、ビジイクレイトは答える。
『ここで彼女たちの『神財』について聞いたら、俺も答えないといけないだろ? イヤだよ、変な小さな本が出てくる変な板が『神財』だって説明するの』
『誰が変な本だって!?』
ゴスゴスと、マメによる抗議の頭突きになんとか反応しないようにしながら、ビジイクレイトは会話を続ける。
「それで、依頼とは何でしょうか。もし、彼女達の『神財』に頼らなくてはいけないような内容なら、お断りしたいのですが……」
「『神財』に頼らなくても、自分なら問題ないってか?」
「……僕の弱さは知っているでしょう? 今回の訓練でも、レベル1の魔獣から逃げ続けていたんですから。言葉通りに、危険な任務は受けたくないと言っているんです」
呆れたような視線を無視して、ビジイクレイトは胸を張る。
『相変わらず情けない主だねぇ』
『なんとでも言え。俺は弱いんだよ』
「……まぁ、いいか。任務の内容だが、『巫女』の護衛だ」
「……『巫女』?」
「西の端の領地、モゥナ……いや、今はユグドラードか。そのユグドラードにいる『世界樹の巫女』スクラーナ。彼女の護衛をしてもらいたい」
冒険者の仕事内容は、ただ『魔境』で魔獣を倒すだけではない。
その戦闘や斥候の能力を買われて、護衛などの仕事を頼まれることがあるのだ。
実際、スカッテン達はサロタープの護衛として、ツウフの魔境にいた。
「『世界樹の巫女』?それは、また……」
サロタープは思案するように頬に手を当てる。
一方、ナナシィとモゥモは、少しだけ表情を暗くさせた。
『……何かあるのか?』
『鈍い主にしては、勘が良いねぇ。とはいえ、この場で聞いても答えてくれなさそうだけど。もう、表情を取り繕っているよ』
マメの言うとおり、ナナシィとモゥモは、何事も無かったかのように、微笑みを浮かべていた。
『そうだな。まぁ、どっちにしても……』
ナナシィとモゥモの事はいったん置いておくとして、ビジイクレイトはスカッテンに言う。
「その任務、お断りします」
「え!?」
「なっ!?」
ビジイクレイトの答えに、サロタープも、ナナシィも驚いている。
モゥモも、声には出さないが、目を見開いていた。
「な、なんでですの!?あの『世界樹の巫女』様とお近づきになれる貴重な機会なのに……」
「先ほども言いましたが、僕は弱いんですよ。そんな、『世界樹の巫女』様の護衛なんて出来るわけがないですから……」
コレは、ビジイクレイトの本心だった。
弱いビジイクレイトに、『世界樹の巫女』などという大物の護衛が務まるとは思えない。
「やっぱり、そうなるか」
ビジイクレイトの答えに、スカッテンは呆れたように頭をかく。
「実は、『闇の隠者』様から、伝言があってな」
一度、息を吐いてから、はっきりとビジイクレイトに聞こえるようにスカッテンは言う。
「この任務、『勇者』様も関係するそうだ」
「やります!」
スカッテンの言葉に、ビジイクレイトは飛びついた。
PV稼ぎの美辞麗句 おしゃかしゃまま @osyakasyamama
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