最終話〜ニャン生、楽あれば苦あり〜

追加分


ゴマ……ゴマちゃん


ゴマじいの声、雛月叶にゃん……砂漠様


???……星花様


他は今まで通りです。


————


N「そよ風が吹く野道を歩くゴマ一行。

 ゴマは、住民たちにその正体が知れると騒ぎになるので、〝田舎で隠居する、お節介焼きのゴマじい〟として、振る舞い続けていたのであった」



ゴマ「はあ、もうジジイのふりするのも疲れたぜ」


レモン「しかしゴマ様、さすがの演技力でしたね。ふう、拙者、少し喉が渇いた。甘いものでもいただきたい」


ミカン「そうだね。パフェでも食べましょうよ、ゴマ様!」


ゴマ「バカかお前ら! 休む暇なんざねえよ。この後はテメエらの稽古だ。何だよ、さっきの戦い方は。まだまだ詰めが甘え。そんなコトじゃあ、十六菊花の印なんざぁ、夢のまた夢ってやつだ! 行くぞ、レモン、ミカン! まっちゃも、ボーッとしてたら置いてくぜ⁉︎」


レモン「はっ、失礼致しましたゴマ様! 気を引き締めて参ります!」


ミカン「そんなあ、ゴマ様ー! 僕、パフェ食べたいー!」


まっちゃ「はわ〜っ! 待ってー! お腹すいたよぉ〜!」


雛月叶にゃん「……ゴマ先生。さすがです。私もこの十六菊花の印を胸に……いつか先生を超えるその日まで、精進して参ります……! さて、孫が待っている。私も〝くつばこ〟の世界へ帰ろう」



N「〝くつばこ〟の世界で、ぬいぐるみに襲われるゴマ一行を助けた謎の老人、雛月叶は、暁闇の勇者ゴマの一番弟子だったのである。雛月は去りゆくゴマ一行の姿を見届けると、どこかへと姿を消した」



ゴマ「はあ、はあ……。よおし、今日のところはこの辺にしといてやるぜ」


レモン「ぐ……拙者はまだまだ……未熟ッ」


ミカン「十六菊花の印を得るために、もっと頑張らなくちゃ……!」


まっちゃ「おつかれさまー! はい、お茶だよ〜」



N「3時間の稽古を終え、ヘトヘトになったゴマ、レモン、ミカン。

 一行はようやく解散し、ゴマはニャンバラの外れの小高い丘にある、自分の家へとたどり着いた。

 ……レモン、ミカン、まっちゃは、ゴマの後をこっそりとつけていたのだった」



ゴマ「あー、腹減った。ただいまー」



N「ゴマは玄関の扉を開けた。……と同時に、鬼嫁の、雷が落ちる!」



???「あんた! 何が、腹減ったー、やねん! あんたなぁ、自分で洗濯するいうて、また洗濯物ほったらかしやないかー!」


ゴマ「あ。わ、悪りぃ、忘れてたぜ」


???「忘れてたやあらへんわ! 2日分も溜まってしもてるやん! 2日分も! ウチらの分、洗濯出来ひんやないか! ポラリスも明日学校やのに、着て行くもんあらへん言うて泣いとるで!」


ゴマ(ゴマじいの声)「……い……いや、ワシ、ちょっと腰が痛うてのお」


???「(食い気味に)爺さんのフリしてごまかしてもあかん! さっさと洗濯始めんかいな、ほんまにもー! あんたの分の夕ご飯、作らへんで!!!!!!」


ゴマ「あーー、ったく手厳しいなー! 分かった、やるよ、やりますよ!」


レモン「ゴ……ゴマ様……?」


ミカン「こ、こわいね」


まっちゃ「僕も結婚したらああなるのかなぁ……」



N「鬼嫁スピカに、完全に尻に敷かれる暁闇の勇者ゴマ。窓からその様子を覗き見て恐れおののく、レモン、ミカン、まっちゃであった。

ニャン生、楽ありゃ苦もあるさ——」


(終)

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※朗読用 老ネコのゴマの〝ニャン生、楽あれば苦あり〟 戸田 猫丸 @nekonekoneko777

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