第14話〜暁闇の勇者〜

・ゴマちゃん……若いゴマの声、レモン、ウィンド

・無頼様……まっちゃ、ダイカーン(アーク・ダイカーン)、こもにゃん、ダイカーンの部下A

・兎蛍様……ミカン、いくにゃん、ティタニア、住民B

・砂漠様……さとにゃん、シャロール、砂漠の使徒、住民A、ダイカーンの部下C

・星花様……シルヴァ、幻・道裏星花、ミランダ、ダイカーンの部下B


 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−


若いゴマの声「……聖なる星の光よ、我に愛の力を!」


アーク・ダイカーン「まさか! まさか‼︎」



N「ゴマじいが、紫色の光に包まれる! そして、若き頃の暁闇の勇者ゴマに、転身した!」



ゴマじい(若いゴマの声)「どうだ、ビビっただろ?」


アーク・ダイカーン「ぎ、暁闇の勇者ゴマ様が、こんな所に居るはずがない! 貴様は偽物だ! 偽物に決まってる!」


ゴマじい(若いゴマの声)「偽物だと? じゃあ試してみるか? 耐えてみせろよ? ……ギガ・ダークブラスト!」


アーク・ダイカーン「何だと……⁉︎ ぐはぁ!」



N「暁闇の勇者・ゴマじいの攻撃を喰らい、吹き飛ぶアーク・ダイカーン。その様子を見た住民たちは、みんな目を丸くする」



住民A「ダイカーンが、吹っ飛んだ!」


住民B「あ、あの爺さんは、まさか……伝説の……?」



N「住民たちの言葉を聞いたゴマじいは、何事もなかったかのような顔をし、元のゴマじいの声で答える」



ゴマじい「ほっほ、何かの見間違いじゃろう。ダイカーンは自分からワシにぶつかってきて、すっ転んだだけじゃよ」



N「地面に叩きつけられ、変身が解除されたダイカーンは、震えながらゴマじいを睨みつける」



ダイカーン「お、おのれ……、クソジジイめが!」



N「一方、レモン、ミカンは」



レモン「ゴマ様直伝! ギガ・ダークブレイク!」


ミカン「ゴマ様直伝! ホワイト・ヒート!」


ダイカーンの部下A「こ、この技は! 何故貴様らがこの技を……⁉︎」


ダイカーンの部下C「お前たち、一体何者なんだ⁉︎」



N「そして、いくにゃん、こもにゃん、さとにゃんは」



ダイカーンの部下B「でやあ! 喰らえー!」


さとにゃん「ああっ! 剣が折れてしまった……!」


こもにゃん「佐藤さん、これ使ってください!」(テンション高め)



N「こもにゃんはカバンから、黒い剣を取り出した」



さとにゃん「こ、これは……! 僕が試練を突破して手に入れた勇者の剣!」


シャロール「もう使わないって決めたから、封印したのに……」


さとにゃん「でも、今日だけは許してくれ。絶対に倒さなきゃいけないんだ!」


シャロール「うん!」



N「さとにゃんは勇者の剣を構え、ダイカーンの部下たちに狙いを定めた」



シャロール「私も〝話術〟で応援するね! 佐藤、がんばれー!」


さとにゃん「ありがとう!」



N「シャロールの〝話術〟による応援で、パワーアップしたさとにゃんは、勇者の剣を一振りし、ダイカーンの部下たちを薙ぎ払った!」



ダイカーンの部下A「ぐわあ!」


ダイカーンの部下B「きゃあー!」


ダイカーンの部下C「うおああ!!」


さとにゃん「この世界を、みんなの世界を守るために! 僕は負けられないんだ!」


いくにゃん「かっこいい! よしっ俺も頑張るぞ!」



N「一方その頃、砂漠の使徒は……」



砂漠の使徒「よーし、じゃ私は……」



N「砂漠の使徒は、頭に巻いている〝創造主ハチマキ〟をギュッと結び直した。そして……」



砂漠の使徒「みんなネコミミの美少女&イケメンになーれ!!」



N「その瞬間、砂漠の使徒の周りが煙に包まれる」



ダイカーンの部下A「ん? 何だこれは! 顔が変わった!」


ダイカーンの部下B「きゃ! 私、ニンゲンの可愛い女の子になっちゃった!」


ダイカーンの部下C「おおー! イケニャンになれたぜぃ!」



N「イケメン、美少女になってしまったダイカーンの部下たちは、手鏡で自身の顔を見てびっくり仰天する。そして、砂漠の使徒は大笑いする」



砂漠の使徒「ふははははーー!!! ここが天国だーー!」


こもにゃん「変態だ……」


いくにゃん「あ……あの菰葉がドン引きしてる……!!」



N「シルヴァとウィンドは、2匹で協力して大技を繰り出そうとしていた」



シルヴァ「行きますわよ……。忍法、蜃気楼の術……」


ウィンド「大・幻・覚!」



N「忍法蜃気楼の術・大幻覚とは、周囲の景色を異空間に変えたのち、世にもおぞましい幻覚を相手に見せつけ戦意を喪失させる、シルヴァとウィンドの恐るべきコンビ技である。

 周りが異空間に変わり、霧に包まれた。

 そして、霧の中から現れた幻覚とは……!」



幻・道裏星花「おはよううらー! おはよううらー! ボク、道裏星花! 毎日シャロールの対義語は1日佐藤だよ⭐︎プレーヤーくん☆」



N「霧の中から現れたのは、今ナレーションをしているこのボク、道裏星花の、幻だった。え?」



幻・道裏星花「やあネコのみんな、美味しいオカズだよっ! ボクのオカズ、食べる? ねえ、食べる?」



N「幻の道裏星花は、美味しそうな焼き鮭を、ダイカーンの部下に見せつけた」



ダイカーンの部下B「わあ、美味しそう……。いっただっきまーす! モグモグ……」


ダイカーンの部下C「いただくぜ! モグモグ……」



N「しかしそれは……焼き鮭型の爆弾だったのである!」



幻・道裏星花「シャケは、エロい!」



N「ドゴオオオーーーーン!!」



ダイカーンの部下C「ぐわあああ!」


幻・道裏星花「あっはは、引っかかりましたわね。この隙に……ぐるぐる巻きにしてやるー!」


ダイカーンの部下B「し、しまった!」


幻・道裏星花「みんな、ボクの作品読んでね! くつばこと、『異世界転移したら行方不明だった好きな子と暮らすことになっちゃった………』略して、いせゆく!」


ダイカーンの部下C「こんな時に宣伝?!」


幻・道裏星花「読んでくれないと、目ん玉にシャーペンぶっ刺しちゃうぞっ⭐︎」


ダイカーンの部下B「うわあー! な、何とおぞましい……!」


幻・道裏星花「あははー、ごめんねー。じゃあお詫びにー、このお味噌汁をどうぞ! おーみーそーしーるー♪、飲むと元気でーるー♪、……って、ボク4日前に味噌汁見て泣いたんだった! いやああああ……また推しが死んだあああ……! ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙」



N「幻・道裏星花は悲鳴を上げて消滅し、周囲の景色は元通りになった」



ダイカーンの部下B「……戦意」


ダイカーンの部下C「……喪失っ」


ウィンド「さあて、捕まえて連行するぜぃ」



N「ボクも戦意喪失した部下と……同じ気持ちだよ……

 ゴホン、ボク、道裏星花の幻が大変失礼致しました。気を取り直して、ナレーションを続けさせていただきます!

 (1秒の間)

 いくにゃん、こもにゃん、さとにゃん、ウィンド、シルヴァ、そしてレモン、ミカンの活躍で、ダイカーンの部下100匹中70匹はあっという間に蹴散らされ、捕縛ほばくされた。

 うろたえる、ダイカーン」



ダイカーン「ぐぬぬ……。情けない部下どもめ!」


ゴマじい「レモン! ミカン! もういいでしょう」


ミカン「わかりました! ……しずまれー!」


レモン「しずまれぃ!」


ダイカーン「うわぁ!」



N「レモンとミカンは戦いをやめるよう、しずまれ! と大声を上げる」



ミカン「しずまれー!」


レモン「しずまれしずまれぃ! しずまれぃ! ……さて、ミカン。あれを」


ミカン「うん!」



N「ミカンはゴマじいのふところから、黒い印籠を取り出すと、腕を伸ばしてその印籠をダイカーンたちに見せつけた」



ミカン「この十六菊花じゅうろくきっかしるしが、目に入らぬかー!」(威圧)


ダイカーンの部下C「な……!」


ダイカーン「こ、これは……⁉︎」



N「十六菊花じゅうろくきっかの印とは、神の祝福を得た証であり、手にする者は地底のネコの世界において、絶対的な権力を持つのである。

 星猫ほしねこ戦隊コスモレンジャーとして選ばれ、かつて世界を救った、暁闇の勇者ゴマを含む13匹の猫たちは、のちにその証として、太陽神より十六菊花の印を授けられたのである」



レモン「こちらにおわす御方をどなたと心得る。畏れ多くも星猫戦隊コスモレンジャー、暁闇の勇者ゴマ様にあらせられるぞ!」


ゴマじぃ「ふぉっふぉっ」


ダイカーンの部下B「ま、まさか……あのお爺さんが……」


ダイカーンの部下C「伝説の勇者だっただと⁉︎」


ダイカーン「バ……バカな……。まさか本物……だったとは……」


レモン「一同! 御老公の御前である。が高い! 控え居ろう!」(威圧)


ダイカーン「は、ははぁ〜っ!」


ダイカーンの部下B「ははぁーっ!」



N「印籠を突き出すミカン。笑うゴマじい。ひれ伏すダイカーンたち。その様子を見たいくにゃんたちは」



こもにゃん「なぁ衣來あれ……!」


いくにゃん「かっこいい……!」


シャロール「はにゃ? ぎょーあんのゆうしゃ?」


さとにゃん「……誰かと思えば、あの変態猫だったとは」


砂漠の使徒「ゴマくん……」



N「ゴマじいはゆっくりと、ひれ伏すダイカーンのところへと歩み寄る」



ゴマじい「そのほうたちの悪事の数々、この暁闇の勇者ゴマ、しかと見届けたぞ! 精霊の力を乱用し、多くの民を混乱におとしいれるとは、誠に許し難い!!」(堂々とした口調)


ダイカーン「ご……御老公様……」


ゴマじい「ダイカーン殿。まずは、そなたの部下たち全員に、手錠をつけなさい」



N「ダイカーンは言われるまま、残った部下30匹に手錠を用意させ、30匹の部下とともに捕まった70匹の部下に手錠をつけたのち、ダイカーンは残る30匹の部下たちにも手錠をつけた」



ダイカーン「御老公様、これでよろしいでしょうか……?」



N「潔白な役人であるかのように振る舞い、自分の裁きをはぐらかそうとするダイカーン。だが」



ゴマじい「ほっほっほ。もう1匹、手錠をつけてもらわねばならぬ者がおるであろう! ……そのほうだ!」



N「ビシッと、ダイカーンを指さすゴマじい」



ダイカーン「うわあああ、ご勘弁、ご勘弁を! あ、いや、しかし、この騒ぎは、ワシの意思ではありませぬ! ティタニアとかいう訳のわからぬ妖精が、どうしても世界を混乱におとしいれたいなどと脅すもんですから、仕方なしに従っただけでございます! ですので、どうか裁きを軽くしてもらえませぬか!」



N「そのとき、ウィンドが笑いながら口を開いた」



ウィンド「本当にそうかな? ……ダイカーン、お前さんの発言、ちゃあーんと、録音済みだぜぃ。再生っと。ポチっとな」


※録音再生

ダイカーン「ガッハッハ! 世の中というのは、楽しくなければならぬ! シルヴァにウィンドよ、そう思わぬか?」


ウィンド「もいっちょ、再生っと」


※録音再生

ダイカーン「ワシは世の中をより面白おかしくするために、精霊の力を得て、異世界へと繋がるワープゲートを操れるようになったのだ! この力、そなたらにも授けようではないか!」


ウィンド「これで、言い逃れが出来なくなったなあ、ダイカーン!」


ダイカーン「ぬう……ウィンド、貴様あああ!」



N「ゴマじいはさらにもう一歩ダイカーンの方へ歩み寄り、目を細めながら言う」



ゴマじい「悪徳知事、ダイカーンよ。そなたには、追って太陽の神より、厳しき沙汰が下されるであろう……」


ダイカーン「ひ、ひぃぃっ」



N「ゴマじいはダイカーンに顔を近づけると、再び、声を若いトーンに変えた」



ゴマじい(若いゴマの声)「覚悟しておくんだな。ボクを舐めんじゃねぇーぞッ!!!」


ダイカーン「お、……おそれ入りたてまつりましたぁ……」



N「ダイカーンとその部下たちは、城門から入ってきたニャンバラ警察隊に連行されていった。

 ……そして」



ゴマじい「さて、ミランダや。待たせたのお、お主の出番ぢゃ」


ミランダ「うん、もう捕まえてあるわ。……ティタニア! 観念なさい!」


ティタニア「そんな……あちしの魔力がなくなってる!」


シルヴァ「あなたの魔力は、わたくしたちが全て、いただきましたわ」



N「この事件の黒幕である精霊ティタニアは、シルヴァとウィンドにより魔力を全て吸い取られてしまったため、ワープゲートを生み出せなくなり、逃げ回ることもできなくなってしまった。そして遂に、ミランダに捕まってしまったのである。

 ミランダはゴマじいたちの前を飛びながら、ダラリと力なくうなだれるティタニアの胸ぐらを掴んだ」



ミランダ「ティタニア、あなたは〝自身の能力を乱用し、他の誰かに迷惑をかけてはならない〟という、精霊界の大切な掟を破った。その罪は重いわよ。ティタニア、あなたは……」(怒りを込めて)



N「ミランダの周りに、暗黒のオーラがほとばしる」



ティタニア「や、やめてよぉ……ミランダ……」


ミランダ「生きるでも死ぬでもなく、永久に、次元の狭間はざまをさまよい続けなさいッッ‼︎」


ティタニア「そんな、いやああーーーー!?」



N「ミランダの体から黒い稲妻が走ると、黒紫色に染まった禍々しいワープゲート〝冥界の門〟が現れた。

 冥界の門に吸い寄せられ始めるティタニアは泣き叫びながら許しを乞うも、ミランダは容赦なくティタニアを、底のない、果てしない暗闇の世界へと突き落とした」


ティタニア「いやあああああ……!!!!!!」



N「そして、冥界の門は閉じられた」



ゴマじい「これにて、一件落着!」


住民A「暁闇の勇者ゴマ様、レモン様にミカン様! ありがとうございます!」


住民B「伝説の勇者様を生で見られて……感動です! ニャンバラに平和を取り戻してくださり、ありがとうございました!」



N「住民たちに感謝されるゴマじい。レモン、ミカン、まっちゃも、感謝の言葉とこれからの活躍を願う声援を受けていた」

 


ゴマじい「シャロールや、また話そうぞ」


シャロール「うん! これからはお友達ね! ゴマお爺ちゃん!」


こもにゃん「あ、あの……佐藤さん、ゴマさん……! あと砂漠の使徒さん。えっと……あの……ファンです! えっと……」


いくにゃん「サインとか貰いなよ」


こもにゃん「あ……えと……」


砂漠の使徒「サイン? 全然いいよ。あ、そうだ。せっかくだから、猫丸さんも呼ぼうか?」


こもにゃん「アッ……。ソンナ、オ気遣キヅカイナク……」


ゴマじい「猫丸ぅ? ああ、あいつは仕事で来られないそうじゃ」


砂漠の使徒「そっかー。なら、僕だけでもサインするよー、はい、どうぞ」


さとにゃん「ぼくは……?」


こもにゃん「おねがいします……」(震え声)


ゴマじい「ワシは〜?」


シャロール「私はー?」


こもにゃん「きょう、命日かな……」


いくにゃん「ほ、骨は拾うよ……」



N「こもにゃんが、全員からサインを書いてもらったのを確かめたミランダは、いくにゃん、こもにゃん、さとにゃん、シャロールをそれぞれの世界へ帰すため、ワープゲートを出した」



ミランダ「元の世界に帰ったら、ネコの姿は解除されてサイズも元通りになってるからね!」


まっちゃ「元気でね、優しいヒトたち!」


レモン「また何かあれば、共に戦おう、異世界の戦士達よ!」


ミカン「ばいばい、元気でね!」


いくにゃん「ありがとう!」


こもにゃん「すごく楽しかったです。ありがとうございます……!」


佐藤「さようなら! またなにかあったら勇者の僕を呼んでね!」


シャロール「いつでも来るからね!」



N「そして砂漠の使徒は、シャロールの方に歩み寄り、右手を出した」



砂漠の使徒「僕も、君にいつでも会いに行くよ」


シャロール「えぇ……?」(困惑)


佐藤「もし会いに来たら、ぶった斬るぞ」


砂漠の使徒「……あぁ〜〜!! 俺の美少女パラダイスが〜〜〜!!!」



N「いくにゃん、こもにゃん、さとにゃん、シャロールはワープゲートに入り、元の世界へと帰っていった。

 砂漠の使徒は、気合で元の世界へと帰っていった」



ゴマじい「それでは、レモン、ミカン、まっちゃ。参りましょうか」


レモン「はっ!」


ミカン「はいっ!」


まっちゃ「うん! それじゃあ、しゅっぱーつ!」


住民A「さようならー! 暁闇の勇者ゴマ様ー!」


住民B「さようならー!」



N「ニャンバラの住民たちに見送られ帰路につく、ゴマじい一行だった」

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