第12話 おわりに
ここまで書いてまいりましたが、まだほかにもいろいろなことがございました。
しかしながら、結局のところ、大手フランチャイズチェーンへの加盟は、経済的には非常にメリットのある選択であるとわたくしは思っております。
要は、どこまで知っていたか、という事に尽きるのだと思います。
情報には、いい情報と悪い情報、見せかけの情報と生の情報など、様々なものがあります。しかしながら人というのは「いい情報」のみを抽出して考えをまとめる傾向が強いものです。
これは私は仕方がないことだと思います。
大手フランチャイズチェーンに加盟しようと考えている方の多くは、これまで被雇用者であった方が大半でしょう。そんな方々が一大決心をして、起業家へと転身するのです。
そこに「夢」や「希望」を差し挟まず、全てを割り切って「最悪の状況」だけを思い描いて始める方など一人としていないだろうからです。
ただ、知っていればあらかじめ「決めておくこと」ができるチャンスがあります。
つまり、「方針」というものです。
「方針」が定まっていれば、経営の最中にブレることがありませんし、そうなると「一貫性」が生まれます。
この「一貫性」というモノが経営にとって大切な要因の一つであります。
「一貫性」のある経営者は、何より、従業員たちから信用される経営者になれます。
ここで間違ってはいけないのですが、従業員から信用されるという事、イコール、従業員から支持されるという事ではありません。
あくまでも、「あのオーナーならこういうふうに言うだろう、見るだろう」という基準であり、それは従業員たちがそこで働く際の「行動指針」となるだけです。
そして、その「方針」は簡潔で明確で分かり易く、人によって取り方が変わらないものであることが好ましいです。
初めに決めた「方針」がもし、うまく行っていないと感じたら、すぐに変更していただいて問題ありません。ただし、変えるときは徐々にではなく、ある瞬間から完全に変更する必要があります。
ある意味、この「方針転換」がスパッとできる経営者こそ、おそらく「有能な経営者」なのかもしれません。
「方針転換」はつまり、従業員たちから見れば「働く上での行動指針」の変更です。きのうまで〇だったことが今日から✕になる。またはその逆でもあります。
それをするためには、従業員たちに伝える際のタイムラグを失くす必要があります。
経験上このタイムラグをゼロにすることは非常に難しいことでした。もしかしたら不可能なことかもしれません。
ですがおそらくこのタイムラグを限りなくゼロに近づけることのできる経営者は有能な経営者であり、成功する経営者ではないかと思います。
従業員たちにとって「行動指針」が明確であれば、それは「接客」という形に反映され、お店のイメージに現れ、最終的にはお客様からの「評価」につながります。
この「評価」というのも、決して「好評」と捉えてはいけません。あくまでも、「現在の状況」と言うものであって、それ以上でも以下でもありません。
ですが、「一貫性」のある経営をしていれば、この「評価」が明確に表れやすくなるでしょう。つまり、あとはそれを変える必要があるかないかを判断して、経営すればよいだけなのです。
経営にとって一番厄介なのは、「現状がわかりづらいこと」であると私は思います。
それさえ知っていれば、それを聞いていたら、そうなるとわかっていれば、などという事は往々にして存在しています。
その「それ」が見えやすくなり、発見しやすくなり、気づきやすくなり、知らせてくれるようになり、結果、対応しやすくなる。
そうなればどれほど経営が楽になるでしょうか。言わずもがな、であります。
ここまでお読みくださった皆様には、ある程度私のお伝えしたいことをご理解いただけているものと思います。
フランチャイズ起業は、起業するにはハードルが比較的低く、大手であればあるほど、専門的にサポートしていただいたり、起業に掛かる諸々の手続きや準備などにお手伝いいただける人員を付けてくださったりと、本当に助かる態勢ができております。
このことからも、初めて起業される方であれば、是非大手フランチャイズチェーン店で起業されることをお勧めしたいと思います。
その経験は今後のあなたの起業家・経営者としてのキャリアに、おおきな自信と知識を与えてくれることでしょう。
最後になりましたが、私自身は大手フランチャイズに加盟し、10数年にわたりその経営を経験したことに対し、誇りと自信を持つに至り、何よりも勇気を頂けたと思っております。
このことについては、関係各所の皆様にとても感謝いたしているところであることをここに記し、筆をおきたいと思います。
完
起業を考えている方へ―フランチャイズチェーンに加盟する前に知っておいた方がよいこと 永礼 経 @kyonagare
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