第2話 解答編
「値段の立て札にpが書かれている理由ですね」
「3千円とか5千円はわかる。でも最後に書かれているpの意味を知りたい」
手に持っているルースは5千円と言っていた。立て札も5千円と書かれている。そのままの価格を意味するけれど、最後のpがわからなかった。
「ピースのpです。ルース1個での価格を書く場合にpを使います」
「箱には1個ずつルースが入っているよね。普通に3千円のみでもわかりそう」
「金額だけでは誤解を生む場合があるからです」
「ほかに異なる表示があるの?」
もしあるのなら知っておきたい。
「p以外ではctやgがあります。ctがカラットで、gはグラムです。ほかのお店で使っている場合があります。どれかによって価格が変わります」
聞き覚えのある単位だった。宝石らしい単位でもあった。
「両方とも重さの単位よね。たしか1カラットが0.2グラムだった」
「そのとおりです。重いルースほど価格差が出ます。2.5カラットのルースがあったとします。5千円/p、5千円/ct、5千円/gの価格はわかりますか」
頭の中で考えてみた。pはわかりやすかった。ctは2.5倍にする。gは少しややこしいみたい。でも暗算でできる範囲だった。
「pなら5千円、ctなら1万2千5百円、gなら2千5百円よね。金額に大きな差がでている。とくにctとgは5倍違う。間違うと大変そう」
「たいていはラベルに書かれていると思います。でも見づらい場合もあります」
「p・ct・gは重要みたい。この箱はpだからルースひとつ5千円ね。どのルースでも同じ値段だから選びやすい」
「慣れればどの表示でも平気です。不安に思ったときは聞けば安心です」
「買うときには忘れないで確認する。でもどうして3種類も表示があるの?」
普通のお店でも単品やセット、大きさで異なる値段はあった。たいていは合計金額が書いてある場合が多い。とくにctやgは換算が必要で面倒と感じた。
「理由は色々あります。わかりやすい理由は、カラット単位で価格が決まっているルースが多いからです。ctやgは値段設定がしやすいです」
元値に利益を加えて販売する。似たような価値のルースを集めてまとめて売る。ひとつひとつのルースにラベルを作るよりも、効率的かもしれない。
「重さが基準だからctやgもある。pは似た販売価格を集めて売っているのね」
「pなら買う値段がわかりやすいです。私のお店では混乱を省くためにpのみを使っています」
「教えてくれてありがとう。ほかのルースも眺めてみるね」
ほかのルースへ視線を移した。時間を忘れてオパールを堪能した。
(了)
宝石オパールは語る_4 ~p・ct・g~ 色石ひかる @play_of_color
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