宝石オパールは語る_4 ~p・ct・g~

色石ひかる

第1話 問題編

 私は倉木くらき彩香あやか、20歳の女性。ルースコレクター初心者の社会人。ルースは宝石の石単体で裸石ともよばれている。中でもオパールが大好きだった。


 宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の川畑かわばた芽衣子めいこさんを見かけた。20代後半のお姉さんだった。


「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」

「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」

 展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。


 ボルダーオパールを眺めた。ホワイトオパールやブラックオパールに比べて、全体的にひと回り大きいルースが多かった。自由形状もたくさんある。表面の模様も独特みたい。茶色で輝かない部分が、表面に存在するルースもあった。


「ボルダーオパールは大きいルースが多いみたい」

「母岩も含めてルースに仕上げるからかも知れません。きれいなオパール層が広範囲にあるのも、理由のひとつと思われます」


 母岩は鉄鉱石などでできているみたい。表面に見える茶色も、母岩と同じだと教えてもらった。母岩の間にオパールが見え隠れするルースは面白い表情だった。

「大きいルースは迫力もある。ブラックオパールと異なる雰囲気のルースも多い。同じオパールとは思えないくらい」


「オパールは同じ種類でも雰囲気が異なります。異なる種類では、べつの宝石に感じるのかも知れません」

「もう少しボルダーオパールを見てみたい」

 視線を横に移動した。ルースケースに入っていないボルダーオパールがあった。20個くらいのボルダーオパールが、ひとつの箱にまとまって入っていた。


 ルースの大きさや見た目の雰囲気などはまちまちだった。

「この箱のルースを手にとっても平気?」

「大丈夫です。見終わったら同じ箱に戻してください」

「ちょっと見せてもらうね」


 細長いルースを手に取った。きれいな表面は平らだった。部分的に裏面と同じ茶色が見える。ほかのルースを手に取った。小さいけれど輝きはきれいだった。


「色合いは好みかも」

「小さいですが、すてきなルースです」

 値段を確認した。ルースには直接値段は張られてない。箱に立て札があった。

「5千円みたい。でも最後にあるpの意味がわからない」


 立て札には5千円/pと書かれていた。となりにも同様な箱があった。そちらの立て札は3千円/pだった。

「彩香ちゃんが手に持っている小さいルースは5千円です。箱の中にあるルースではおすすめのひとつです」

 よさそうなルースみたい。でも立て札の意味を理解したかった。


「立て札に値段が書かれているよね。でもpの意味がわからない。教えてほしい」

 芽衣子さんの発言をまった。

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