第10話 過去の記憶

ロボットが2体も俺たちの前に立ちはばかり俺たちは思わず後退りをする。

(なんだこれはゲームかよ)

そうだ。ゲームのように敵として出でくるのが遅ければ遅いほど強くなっているのだ。

俺は自分から仕掛けに行く。足を蹴ったが自分の足が痛む。人間ではあれには勝てないと一撃でそう確信した。

次の瞬間もう一体に気づかず後ろから殴られ意識が朦朧としてしまう。

(またこれかよ。結局俺には何にも守れねぇんだ)

走馬灯を見たのは初めてだ。

(ここはどこだ?)

俺の過去の中に牢屋に閉じ込められている記憶が眠っている。周りには大人たちが子供に注射をしたり、勉強をさせたり、格闘技をさせたりとどんどんと記憶が蘇っていく。

(記憶が少しだけ戻った気がする。まさか俺がこんな力を身につけていたとはな)

また俺から仕掛ける。前の出来事を思い出してから体が軽くなった。昔の実戦の経験が生きているのだろう。

これなら勝てる。どうやら俺は全ての格闘技を全てマスターしているようだ。ただそれだけでは勝てない。俺がこいつに絶対に勝つことが出来る根拠は○○だからだ。


次に俺がとった行動はただ殴る。先程の威力とは桁違いだ。何が違うのかと言えば、昔学んだ実践の記憶が戻ったことによりパワーやスピードなどが大幅アップしているのだ。


殴ったところにヒビが入っている。そして5秒後、倒れた。

(これは元々あった力だ。それを最大限発揮できている)


もう一体も難なく倒すことができた。


ちなみに俺がこいつを倒すことができる理由は俺が普通の人間ではないからだ。


俺は元々殺し屋として育てられた訳では無い。国の兵器として育てられていたのだ。


当時の記憶がどんどんと蘇ってくる。


俺は朝起きると必ず寝室から1回の部屋に降りるまでにおよそ300ものの罠が仕掛けられている。どれも即死級の物だ。俺の周りにも10人ほどいたが他は潰されたらしい。

俺だけがその場所で生き残った。


1回に降りると戦闘訓練が始まる。始めに管理人と殺し合いが始まる。これは負けると本当に殺されてしまう物だ。

俺は毎日これに勝ち続けた。


勝つためには単なる力だけでは不可能だ。戦略、立ち回り、技術それらを全て含めて強さとして図られる。


毒を飲まされ耐性をつけようとする行動もあった。これもまた亡くなる人が多かったり、体に後遺症が残ったりと支障がでる人が多かった。


夕食もとても難しい問題を解かないと食べれない。この日課は頭の回転がものすごく早くなる。実際俺の地頭が良かったのはこれが影響しているのだろう。


お風呂もシャワー1滴1滴が弾丸のような重みのあるものだった。常に力を入れておかないと体に激痛が走る。


寝る際も数時間に1回にプロの殺し屋を送り込んでくる。

ただこれは殺さずに対処する訓練であり、力加減を間違えると殺してしまう。


そして俺は強くなりすぎてしまった。管理人たちも俺を恐れるようになった。いつ反逆してくるかわからない、実際その時俺はその施設で圧倒的に1番強かった。


そうしてとった行動は俺の記憶を消すことだ。点検と嘘をつきここでの生活をまるまる記憶消去した。そうして俺は捨てられた。そこで拾ってくれたのが今の殺し屋の本部だ。

俺はこれからこの記憶を背負って生きていくことになるのだ。ただこれがまだ記憶の1部であることを俺はまだ知らない。

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それでも愛せるか 永峰美海 @Rain677

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