雲の上を 希望を願う
久方睦月
雲の上を 希望を願う
今日もまた僕は空を見上げる
ちっぽけな雲がひとつ
申し訳なさそうに浮かんでいる
動きたくないと駄々をこねる雲を
風がせかす
仕方なさげに動き始めるけど
やっぱり駄々をこね・・・
ついに雨を呼ぶ
風は怒ってふきあれて
僕にわめきちらすのだ
うるさそうに肩をすくめて見せると
風は僕を通り過ぎ気まぐれな旅にでた
・・・あたりはすっかり風がやみ
冷たい雨音のみの静寂
僕はそっと 空に向かって手をのばす
何かを求めるように
なにかを抱きしめるように
両手を天に向ける
とてもとても広い空
手をのばせば届きそうな空
けれど・・・
決して届くことのない思い
とてもかなわない望み
僕はただ冷たい雨に打たれながら
空を見つめる
いつのまにかちっぽけな雲は
多大なる母に身をゆだね 姿をけしていた
頭上には黒い雲の海が広がり
悲しみの雨を降らしている
・・・でも
その雲海の上には
きっと喜びの光があふれているはずで
きっといつかは 晴れるはずで・・・
僕は 空に微笑んでから歩き始める
石ころをけりながら
夕飯のことを考えながら
新たなる一歩を踏み出すのだ
明日の喜びを想って・・・・・・
ー了ー
雲の上を 希望を願う 久方睦月 @tatami129
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。雲の上を 希望を願うの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます