浮船さんも浮いている。

五木史人

浮船さんは、しっとり系美少女だyo♪

キャンプファイヤーの炎は、ぼくの感情を昂ぶらせた。


だからなのか?


フォークダンスで浮船さんの手を握った後、ぼくは浮いてしまった。

多分、1ミリ未満だけど。地面に足がついてない感じがする。


「もしかして浮いた?」

と浮船さんは、耳元でぼく以外には聞こえない声で囁いた。


「なぜ?」

「人はね、わたしの事を好きになると、浮いちゃうんだyo♪」


好きになったのは事実だし、1ミリ未満浮いてしまったのは事実だ。

猫型ロボットが浮いてるって話は、聞いた事はあるが。


「どうしたら元に戻るの?」

「わたしの事を嫌いになったら、戻るyo♪簡単でしょう、人を嫌いになるのって」


ぼくは踊る浮船さんの姿を見た。


「浮船さんを嫌いになる要素が、見当たらない」

「それじゃあ、ずっと浮いたままだyo♪」


こうしてぼくは、1ミリ未満浮いたままになった。


地面は恋しいけど、浮船さんはもっと恋しい・・・

そんな、夏の夜。



        完

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

浮船さんも浮いている。 五木史人 @ituki-siso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ