第5話続編

やっと結ばれた花と章一。

一緒に暮らし何をしても楽しい

毎日だった。

そんな、ある日は花は身体の

異変に気付く。

病院へ行く花。

[おめでたです、今は8週目ですね。]

[ありがとうございます。]

(章一さんの子が、お腹の中に

居るんだ!仕事、辞めないと、

いけないな?)

その夜、仕事から帰って来た章一。

[おかえりなさい。]

[ただいま。]

[直ぐ、ご飯の用意するね。]

[うん。]

そして2人で、ご飯を食べる。

その時

[章一さん、子供が出来たよ!]

[えっ!もう一度言って!]

[だから、章一さんと私の子供が

出来ました!]

[やったー!話。]

普段の章一からは考えられない位

喜んでいる。

花は、恐い位、幸せだった。

[名前、どうしようかな?]

[章一さん、まだ、どちらかも

分からないのに早いよ。]

[そうか?]

[うん、それで私、今の仕事

辞めないと産休とかも無いから

みんなに迷惑掛けるから。]

[いいよ、花は仕事辞めて

身体を大切にしないと。]

[うん、じゃ明日、職場に言うね。]

[うん、ちゃんと言っておいで。]

[花~お風呂入ろう!]

[又、一緒に?]

[うん。]

そして、まだ大きくも無い私の

お腹を愛おしそうに、撫でる。

次の日

[行ってらっしゃい。]

[行ってきます。]

章一を見送って職場に行く花。

[店長、すみません、私、妊娠

したんで、お仕事を辞めさせて

頂きたいんですけど。]

[山村さん、真面目だから

辞められたら痛いな~

でも赤ちゃんが出来たんだから

おめでたい事だし、しょうがない。

元気な子を産むんだよ!]

[はい、ありがとうございます。]

そして、みんなにも挨拶をして

家に帰る花。

まだ、お腹の大きさも変わらず

実感は薄いが

(私、お母さんになるんだ。

しっかり、しないと。)

そう思い、出産に関する本等を

沢山、買ってきて勉強した。

お腹の赤ちゃんも、安定期に

入って一安心の花と章一。

そんなある日、夕方、章一から

電話が、掛かって来た。

[花、ちょっと落ち着いて聞いて。]

[うん。]

[前の奥さんが、倒れて今から

救急車で病院に行くんだけど

誰か1人一緒に乗らないと

いけないから誰か行かないと

いけないんだ。

あいつ親も兄弟も居ないから、花

いい?]

[章一さん、いい?じゃなくて

行かなくちゃ!そこは絶対に

行かないと私は大丈夫だから!]

と花は強く言った。

病院から帰ってきた章一。

[どうだった?]

[子宮がん、だった。まだ初期

だったから手術で子宮を摘出

したけど転移の可能性とかも

有るから、これからは検査

しながら様子を見るみたいだよ。]

[そんな~奥さん誰も身内、居ないん

でしょう?]

[花、悪いな、俺が見ないと

いけない!]

[そんなの、いいよ!章一さんの

元の奥さんなんだから!もし

奥さんが嫌じゃ無かったら私

何でもするから、でも、やっぱり

嫌だよね。]

[いや、一度伝えるよ!花の気持ちを。]

[うん、疲れたでしょう?ご飯食べて

早く休んで。]

[うん。]

仕事が終わると、その足で病院へ

向かう章一。

病室で章一は由起子に

[あの~由起子、嫌ならいいんだけど

洗濯とか身の回りの事、今術後だから

大変だろう?俺も仕事が有るし

もし由起子が、いいんなら花が

世話をしたいって。]

[あ~あの子、顔も見たくない!]

[でも今、1人じゃ何も出来ないだろう?]

[せめて洗濯だけでも、してくるよ。]

[……]

黙る由起子。

洗濯物を入れ章一が

[明日も来るから!]

と帰って行った。

由起子は、身体も心も痛くて涙した。

(どうして、あの子が私の世話を

するの?)

由起子は花が自分の世話をすると

言う気持ちが分からなかった。

花は由起子の物を洗濯して章一に

渡す。

[ありがとう、花。]

[やっぱり私の顔は見たく無いん

だね、それが普通だね。]

[花、花は気にするな、お腹の

子供の心配をしてろ、行ってきます。]

[行ってらっしゃい。]

そんな毎日が続く。

すると由起子が

[あの子を呼んで。]

と章一に言い出した。

[どうした?急に。]

[洗濯の、お礼位は言わないと。]

[うん、分かった、連れて来るよ。]

章一は、その事を花に話した。

[本当に?でも顔見たら嫌がらない

かな?]

[心配だけど、一度行ってみよう。]

[うん。]

そして章一は花を連れて病院へ

行った。

[こんにちは、お加減はどうですか?]

[最悪。]

[ですよね。]

[あなた、洗濯ありがとう。]

[いえ、私に出来る事が有れば

何でも言って下さい。]

[そう?じゃあ明日から山村は

仕事が有るから、あなたが病院に

来て。]

花と章一は顔を見合わせた。

[分かった?]

[はい。]

そして帰る2人。

[どうしたんだろう?由起子さん。]

[俺にも分からない。]

[まぁ、明日から私が行くよ、どうせ

家に1人で居るんだし、章一さんも

仕事、忙しいから大変だし。]

[うん、花、悪いな?頼むな!]

[任せて!]

そして翌日から花は由起子の

病院へ行った。

[おはようございます。]

[あなた、確か名前は花さんだった

わね?]

[はい。]

[もう今は怒って無いから、山村の

あんな、穏やかな顔、私の時には

なかったわ!きっと幸せなのね?

私が言うのも変だけど、ありがとう。]

[い~え、私にありがとう、だなんて。]

そして奇妙な看病生活が始まった。

[花さん、あなた、お腹!]

[はい、もう直ぐ産まれます。]

[そんな身体で、ごめんなさいね。]

[大丈夫ですよ。]

[私にも見せてね?]

[はい、是非。]

あの昔の由起子は、もう居なかった。

今は優しい由起子が居る。

由起子も無事退院出来る事になった。

花と章一が家迄、送る。

家に着くと花が

[章一さん、少しの間、由起子さんを

事務所のソファーで休ませて!]

[どうして?]

[掃除しないと、それに何か

食べる物を作っとかないと!]

[花、ありがとう。]

[困った時は!お互い様だよ!]

そして手際よく用事を済ませる花。

[章一さん、もう良いよ。上がって

来て。]

すると由起子が

[花さん、あなた掃除してくれてたの?

それに、ご飯迄!]

[退院しても、まだそんなに動けない

から明日から私、ご飯持って来ます

から。]

[もう良いですよ、充分ですよ。]

[い~え、病人を動かす訳には

いきません!]

すると由起子が笑った。

花は由起子の笑う顔を初めて見た。

嬉しかった。

そして順調に回復して自分で何でも

出来る様になった由起子。

[花さん私は、もう大丈夫よ。あなたは

元気な子を産んでね?たまには

お茶でも飲みに来て!]

[はい、ありがとうございます。]

由起子は思った。

(花さんに山村が恋したのは

分かるな?あの心の広さ優しさは

勝てないや!)

そして花の出産が始まる。

[花、頑張れ!]

[花さん、頑張って!]

章一と由起子だった。

[はい!]

そして元気な女の子が産まれた。

愛とおしい我が子に涙する花と

章一、そして由起子迄。

[良かったな!頑張ったな!]

[花さん、良く頑張ったね!]

そして赤ちゃんを連れて家に

帰る花達。

名前を付けないといけない。

悩んでる章一と由起子。

花は、もう決まっていた。

[さくら、にしたいです。]

章一も由起子も賛成してくれた。

花は、あの枝垂れ桜から名前を

決めた、あの日そっと頬を

撫でて、くれた枝垂れ桜。

さくらは春に産まれた。

さくらが1歳になる頃、桜は

咲く。

花は章一と、さくら、そして由起子

と一緒に枝垂れ桜を見に行った。

桜の木の下へ行くと、あの時

見たいに桜の枝が花の頬を

撫でる。

そして、さくらの頬も撫でる。

(ありがとう。桜さん、あなたが

きっと私を守ってくれたんですね?

これからは、毎年4人で来ますね。)

すると又、桜の枝が頬を撫でる。

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海の中へ aki @nyontyun

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