第4話

そして花は新しい職場で働きだした。

そう花が、5年前にもどりたかったのは

本当に山村と死にたかったからだった。

新しい職場にも慣れ少しずつ

平穏な生活に戻っていた。

でも、何時も心の片隅に山村が居た。

(何時に、なったら迎えに来て

くれるんだろう?)

そして山村の心の片隅にも何時も

花が、居た。

花は毎年、初詣、枝垂れ桜、ヒマワリ畑

紅葉を1人で廻ってた。

5年目の春

今年も、枝垂れ桜を見に行った。

花の1番のお気に入りの場所だった。

(今年も来たよ。)

そう桜に話かけながら、ジーット

桜を見つめる花。

すると

[花!]

と山村の呼ぶ声が、した。

(えっ!まさか!)

と思いながら振り替えると、そこに

山村がいた。

[章一さん!]

[花!]

抱き合う2人。

周りの目等は気にならない。

[花、やっぱり見に来てたんだ?]

[うん、毎年来てたよ!後ヒマワリ畑

紅葉、初詣も章一さんと行った所は

全部、廻ってたよ!]

[俺もだよ!]

[えっ!本当に!会わなかったね?]

[でも、今日やっと会えた!]

[うん!]

笑顔で見詰め合う2人。

[章一さん、まだ奥さん厳しいの?]

[相変わらずだよ!離婚してって

言っても、してくれないし、

どうしようもないよ!花は?]

[うん、今やっと新しい職場で

働いてる!]

[そうかぁ~花、大人っぽく、なったね!]

[章一さん、私何歳に、なったと

思ってるの?]

[20歳!]

[フフフ、相変わらず、面白いね!

30歳だよ!]

[30歳かぁ~じゃあ、もう10年に

なるんだ!]

[そういう事!]

[花、俺まだ花の事、待たせてるけど

俺に出逢った事を、後悔してない?]

[後悔は一つだけしてます!]

[えっ!何?]

[章一さんと死ねなかった事!]

[それは俺も、一緒だよ!]

[私は、章一さんが私に心を

くれたから、何時までも待てるよ!]

[花は本当に可愛いいな!昔と

全然変わらない!俺も本当に

ケジメつけないとな!]

[ケジメ?]

[そう、ケジメ!花は何も心配

しなくて良いよ!]

[うん。]

でも心配な花だった。

[じゃあ寂しいけど今日は帰ろうか!]

[うん。]

[じゃあな!]

[じゃあね!]

と軽くキスをした。

その日、花は嬉しくて寝れなかった。

山村も、10年も自分を待ってくれてる

花を思って寝れない。

翌日、山村家

[おい、話がある!座ってくれ!]

[何?]

[離婚してくれ、このまま夫婦で

居ても意味無いから!]

[はぁ?離婚はしないって言った

でしょう?あなた、まさか、あの

泥棒猫と一緒になる気ね!そんなの

絶対、認めないから!]

[お前、俺の気持ちが無いのに一緒に

居ても何の意味も無いだろう?]

[泥棒猫に取られるよりマシよ!]

[その言い方止めろよ!]

[何で?本当の事じゃない!泥棒猫よ!]

[お前、何で俺と居るの?お前も、

もう俺に気持ちは無いだろう?お金か?]

[そうね、お金は大事ね!ただ、あの

泥棒猫に取られるのは許せないわ!]

[もう頼む!離婚したら慰謝料は

払う、毎月の生活費も入れる、それを

条件に離婚してくれ!]

[家はどうするの?]

[2階が、家だから、お前が住みたいなら

住めばいい、下は事務所だから俺が

使う、それで、どうだ?もう本当に

頼む!]

山村は頭を下げた。

こんなに頭を下げる山村を見たのは

妻の由起子も初めてだった。

由起子は、キツくは言うが山村の事を

愛していた。

(私達、最初はこんなんじゃ

無かったのに、何時から変わって

しまったんだろう?もう本当に

手遅れなんだ。ここまで、するん

だから相当な覚悟を決めたんだね!)

[もう気持ちは変わらないの?]

[変わらない!]

[分かった、でも出した条件は

守ってよ!]

[うん。守るから!]

それからは離婚迄は早かった。

[あなたの荷物は?]

[とりあえず事務所に置いとく!]

その後山村は花にラインをした。

(大事な話が有るから初めて会った

カフェで3時に待ってる!)

ラインを見た花。

(大事は話って?別れるんだろうか?

私達。)

不安になる。

仕事を早めに上がらせて貰って

カフェに行った。

お店に入ると、もう山村は来ていた。

[遅くなってごめんなさい。]

[急に、ごめんね!]

[あの~大事な話って?]

不安そうに花は聞く。

[俺、やっと離婚したから!]

[えっ!本当ですか?]

[ただ慰謝料とか毎月の生活費を

見るっていう条件付きだけど

生活厳しくなるけど花いい?]

[はい!どんなに貧乏したって

章一さんが居れば、それだけで

充分です!]

[じゃあ森下花さん、山村花に

なってください。]

[はい!すぐにでも!]

笑い合う2人。

そして2人は、婚姻届を出した。

[花?結婚式は?]

[こんな形で夫婦になった私達を

祝う人なんて、居ないよ!しなくて

いいよ!]

[じゃあ指輪買いに行こう!]

[うん。]

買って帰って来た2人。

[山村花さん?]

と山村が花をからかって言う。

[もう~]

[えっへん!山村花さん、俺の大切な

お嫁さんです。10年待たせて本当に

ごめんなさい。残りの人生、全てを

かけて、あなたを、花を守ります。]

[山村章一さん、あなたは私の

世界一、素敵な旦那様です!私は

全力で、あなたを支えて行きます。]

そう言ってリンクを、お互いに

はめた。


重ね合う2人の手

そこには1度死を決意した2人が、

生まれ変わって、一緒になった

かの様な固く、重く、深い愛が、

重なり合っていた。



FIN



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