第2話 解答編

「ブラックオパールの色が赤色か青色の違いで、値段が5倍異なる理由ですね」

「赤色のルースが、5倍も値段が高い理由を知りたい」


「色の違いはオパールの成り立ちに関係します。オパールは宝石では珍しい非結晶質の鉱物です。主な成分は二酸化珪素と水で、この2つが粒子になって成長します」

「ほかの宝石と異なるのね」

 宝石によって生まれ方が異なる。ほかの宝石もあとで調べてみたい。


「オパールの特徴はほかにもあります。いまは色にかんする部分のみ説明します。ほかの特徴が知りたいときには、気軽に声をかけてください」

「そのときはお願い。それで色とオパールの成り立ちには関係があるのよね」

「粒子は長い年月をかけて徐々に大きく成長します。粒子の大きさが異なると色が異なります。色の違いと値段の関係はこれが理由です」


 芽衣子さんの説明意図はわかった。粒子の大きさと色が関係している。赤色が青色よりも値段が高い。たぶん赤色のほうが粒子の成長に時間がかかるのね。

「赤色は粒子が大きく成長しないと見えない。大きい粒子は非常に長い年月が必要になる。そのため貴重になるから価格が高い。考えはあっている?」


「彩香ちゃんの考えているとおりです。きれいなオパールは、見つかるのが少ない上に赤色はさらに数が少ないです。そのぶん、値段も高くなります」

 どの色も平等に出現すると思っていた。粒子の大きさで色が変わるのに驚いた。知れば知るほどにオパールは奥が深い。


 大きな箱に入っている20個のルースケースを眺めた。全部のルースがブラックオパールだった。その中で赤色が目立つルースは2つだけみたい。半分以上は青色と緑色が主体のルースだった。


「たしかに赤色が少ないみたい。貴重で値段も高いとわかった。でも私は青色で輝きのよいルースがすてきだった」

 赤色と比較した青色のルースを芽衣子さんへ見せた。


「このルースも充分にきれいです。フラッシュの方向が決まっていますが、発色はよいです。彩香ちゃんは赤色のルースよりも、こちらの青色ルースが好きですか」

「気に入っているのは青色のルースよ。でも赤色が貴重で高価なのよね」


「赤色が高価ですが、どのルースを気に入るかは好みです。青色が好みなら安価で好きなルースが買えるのでお得です」

 高いルースはもちろん素晴らしいけれど、自分が好きなルースを買えばよい。同じ品質で安く買えるのなら嬉しい。


「教えてくれてありがとう。ほかのルースも眺めてみるね」

 ほかのルースへ視線を移した。時間を忘れてオパールを堪能した。


(了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

宝石オパールは語る_3 ~赤色と青色の模様~ 色石ひかる @play_of_color

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ