宝石オパールは語る_3 ~赤色と青色の模様~

色石ひかる

第1話 問題編

 私は倉木くらき彩香あやか、20歳の女性。ルースコレクター初心者の社会人。ルースは宝石の石単体で裸石ともよばれている。中でもオパールが大好きだった。


 宝石や鉱物を販売するミネラルショーにきた。最初にオーストラリア産オパール専門店へよった。店主の川畑かわばた芽衣子めいこさんを見かけた。20代後半のお姉さんだった。


「彩香ちゃん、今回も来てくれてうれしいです。思う存分ルースをみてください」

「すてきなルースとの出会いが楽しみよ。気になるところがあれば質問するね」

 展示されている手前のルースから眺めた。今日もオパールを堪能できる。


 最初はホワイトオパールを眺めた。白色のルースに七色の光が輝いていた。となりのルースは透明感があった。シャボン玉みたいにきれいだった。

 ブラックオパールが展示されている大きな箱に目をむけた。ひときわ目を引く赤色のルースがあった。その横には同じくらいきれいな青色のルースがおいてある。


 どちらもブラックオパールで重さも同じくらい。

「芽衣子さん、この2つのルースを見せてね」

「どちらのルースも発色がよくてきれいです。楽しみながら見てください」

 赤色がきれいなルースのルースケースを手に取った。向きを変えると一面に赤色が光輝いていた。べつの方向からは薄暗い色で、輝いた赤色は見られない。


 今度は青色が光るルースを眺めた。赤色のルースと同じく決まった方向で、青色が美しく輝いた。

「輝く方向できれいな赤や青色が見られる。方向によっては暗い色のままね」

「全面できれいな色が見られるほど高価です。でも滅多にありません。今見ているルースはフラッシュパターンという種類です。閃光のようできれいな色です」


「確かに呼び名と同じね。一瞬の輝きが凄い」

 何度も角度を変えて輝きを堪能した。両方のルースともすてきだった。

「その2つのルースは気に入りましたか」

「光る方向は決まっているけれど、輝いたときの色がきれい。とくに青色のルースは輝いた青空のように凄い。赤色と青色のルースは似ているよね」


「色以外は大きさや重さは同じくらいです。裏側の濃さなども同じくらいで、発色や見える範囲も大差はないです」

「同じようなのに値段が5倍も異なっている。赤色ルースが10万円で青色ルースが2万円と違いすぎる。色以外に違いはないよね?」


 見た目は同様だった。ルースケールに張られているラベルの数値も似ている。異なる点は価格だけだった。

「色以外には大きな違いはありません」


「普通に考えれば価格差は色よね。どうして赤色か青色かで、ここまで値段が違うのか知りたい。私には青色のほうがきれいに見える」

 芽衣子さんの発言をまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る