三
戻ってきたノートを見てみると、手紙が挟まっていた。
『勝手にかりてごめんね。よかったら勉強教えてね。美雪』
1組の
美雪は読書ばかりしている大人しい女の子で、頭の良い子だ。
四年生で同じクラスになった時、美雪と初めて喋った。その時、美雪が言っていた。
「私、算数は大の苦手なの」
「だったら、算数は教えてあげるよ。そうしたら、全部100点取れるようになるよ」
「本当! ありがとう」
それから、算数のテストの前の日は、美雪の家で勉強していた。
クラスが変わって、学級委員の仕事が増えて忙しくなり、新しい友達もできた。そのうち、こんなに大切な約束を忘れてしまっていたのだ。
私は自分を叱った。美雪と一緒に勉強しているのは楽しかった。それに、お礼でもらったヘアゴムだって、私の好きな黄色を選んでくれた。そんな優しい美雪が好きなのに、私は何をしていたんだ。と。
次の日。朝早くに登校した私は、こっそり1組の教室に入った。教卓の上にある座席表を確認して、美雪の机に着くと、その中に手紙を入れた。ふと机の右横のフックを見ると、いつか私があげたピンク色の丸い飾りの付いたヘアゴムがつけてあった。
廊下から足音がして、私は急いで1組の教室を出た。
美雪に、昨日の不思議な話をしてあげよう。と思いながら、私は2組の教室に入った。
累の机の上には、鉛筆と四つ葉のクローバーが乗っかっていた。
放課後の二宮さん 阿久 朱美 @Nisiuri07
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