信長が女子高生に生まれかわると、まあ大変でした。

五木史人

なんか・・・ごめん。

名門女子高に入学したばかりの教室で、わたしはいきなり3人の女子に口説かれた。


中学の時より、ちょっとだけ痩せた結果の高校デビューだ。

自分で言うのもなんだけど、ちょっと美少女になった。


だとしても、百合には興味ない!


そしてさらに、話は複雑だった。


わたしには前世の記憶があったからだ。

わたしの前世は、あの覇王!織田信長!


そして、わたしを口説こうとしている3人の女子は、

感の良い読者なら気づいたかも知れないが、

前世では、光秀、秀吉、家康だった女子達だ。


どうも前世の記憶があるのが、わたしだけらしく、3人はわたしが信長だったとは知る由もない。


「一緒に居ると、なんか良い事がありそうな気がするよ♪」

と元秀吉と元家康は口々に言った。


そりゃそうだろう、お前らはー!

わたしは歴史の教科書の上に、手を強く置いた。


それに比べてわたしは・・・


わたしの脳裏に、燃える本能寺の光景が浮かんだ。


悔しい・・悔しいよ~


それなのに元光秀、お前は何故、わたしを口説こうとする?


恐いわ!


さて、こいつらとは別に、もうちょっとおぞましい光景を読者に紹介しよう。


わたしが入学した女子高の教室には、こいつらの他に、


今川さん、斉藤さん、浅井さん、朝倉さん、

六角さん、松永さん、武田さん、などなど・・・


そう、わたしが前世で攻め滅ぼした方々がずらりと揃っていた。


おそましい(滝汗)


救いは、この方々も前世の記憶がない事だった。

それは良かった。本当に良かった。


しかし、それにしても、

元光秀&元秀吉&元家康はしつこい。


30分以上、わたしを口説き続けている。


だから、ついわたしは

「もー、ちょっと、しつこいよ!」

と大きめの声を上げてしまった。


すると教室中が一瞬でてついた。

見ると誰もが、恐怖に怯え、そして死を覚悟した目をしていた。


心の奥に潜む前世からの恐怖が、湧き上がって来たかの様に・・・

今の日本人が絶対することが無い表情だ。


ぱっと見は普通の女子高生が、ちょっと大きめの声をだしただけなのに・・・


なんか・・・ごめん。


       

    完


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

信長が女子高生に生まれかわると、まあ大変でした。 五木史人 @ituki-siso

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ