ゲームセンターでデートなう(3)
「わー!すっごぉーい!ゲームがいっぱいあるよ~!」
「そりゃあ、ゲーセンだからな。……それで何からする?」
初めてのゲームセンターにリリムのテンションはかなり高くなっていた。
目をキラキラと光らせはしゃいでいる姿は、まるで小さな子供を見ているようで、つられてこちらまでテンションが上がってしまう。
「うーんとねー、そうだなぁ……。ん~、じゃあ、アレ!」
少しの間悩む仕草をみせていたが、やがて最初にするゲームを決めたのかリリムはこちらを振り向き俺のちょうど真うしろにある機械を指さした。
彼女の言葉にうしろへ視線を向けると、そこには…
「……プチ、クラ?」
「…………」
「―ん?どしたのダーリン?」
「…………」
人生初のプチクラ。それもサキュバスとはいえ、こんなに可愛い女の子と二人きりで。
そんな本来自分なんかには到底起こるはずのない陽キャイベントに、少しの間、俺の思考は完全に停止してしまった。
「もしかして……イヤ、だった?……瑠璃ちゃんに好きな人やお友達といっしょに写真を撮る機械だよって教えてもらったから…ダーリンといっしょに撮りたいなぁって思ったんだけど……。私とプチクラ撮るの、イヤ?」
くっ、その顔は卑怯だろ!そんな顔向けられてイヤなんて言えるやついるわけねぇだろうが!
いや、そんな顔されなくてもイヤなんて言わないんですけどね?
「べつにイヤだとかそういうのじゃなくて、単純にプチクラ自体が初めてでちょっと戸惑っただけだ!むしろ俺なんかと撮りたいって言ってくれてすげー嬉しいよ!」
俺は首を左右にブンブンと振りそう応えた。
「…ホン……ト?」
「ああ、本当だ。俺もリリムと一緒にプチクラ撮りたいって思ってた!」
まだ少し不安そうな顔をする彼女の言葉に俺は首を上下に激しく動かし肯定の意を最大限示す。
「……えへへ、そっかぁ。私とプチクラ撮れるの嬉しいんだぁ……そっかぁ♪ふふっ、なら早くならぼっ!ダーリンっ!」
俺の一緒に撮りたいと思っているという言葉を聞き安心したらしく、彼女はそう言い俺の手を引いた。
その後、先程よりも数段上機嫌になったリリムと二人でプチクラ台の前に並んでいた数人のギャル達のうしろに並び、無事人生初の『女の子とプチクラを撮る』というイベントは達成された。
撮ったプチクラを二人で見ていた際、後方で音ゲーをしていた数人のオタク共に、全力の舌打ちとゴミを見るような視線を贈られたのは、また別のお話。
私のお兄ぃがサキュバスに迫られて困ってます! ランドセルとキッズ @ranndoserude45
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