第17話 クラスメートの行方不明

【作者からのお知らせとお詫び】

17話を持って2章は終わりです。

これをもちまして、更新を一時休止します。

自分が受験生であり、今はそちらに本腰を入れる必要があるものと判断したためです。

受験が終わり次第、更新を再開する所存でございますので、気長にお待ち頂けると幸いです。


【本文】

俺たちは、森に入った目標である『魔法の補助的な使い方』をカカロさんに見せて貰い、森から教会へと帰る。


帰り道に魔物と会うことはあったが、どれも先ほどの『マリティムス』よりもさらに弱いとされているらしい狼のような魔物で、カカロさんの魔法による加速で一瞬のうちに切り捨てられた。


後に聞くと名前は『ウッズウルフ』といい、主な対応にあたる冒険者はRANK2から討伐依頼があるらしい。


無事に教会に帰ってきたとき、庭ではニコラさんとヴェルメさんの班が混じって魔法の訓練をしていた。


「おらぁもっと声だせぇ! おぃ! おぃ! おぃ!」


ヴェルメさんは… なんか… 熱気がすごいな…


魔法に腹から声を出すとか関係あるのかと一瞬思ったが、ヴェルメさんは冒険者ギルドのギルドマスターを任されるほどの人だ。


きっと何かあるんだろう。


「魔法は、その、限りある魔力をどれほど使い、速度・威力・射程にいかに割くかです。訓練を重ねると魔力量は増えはしますが、それでも有限なのは変わりないのです。それではそれらに意識して魔法を撃ってみてください。」


ニコラさんの方は、しっかりとした説明を行い、それに注意しながら魔法を撃ってみるというThe訓練って感じだ。


クラスメートは自分の性格にあった方を選んでいるようで、気合いで教えるヴェルメさんよりも理論で教えるニコラさんの方に多く集まっていた。


これからの予定は特にないとのことなので、見学していくことにした。


専門の人が俺のステータスと魔法適正を見て、俺は近接戦闘のカカロさんの班に割り振られたのだが、俺は『全属性適正』だ。


学べることはあるだろう。


─と思っていたのだが、訓練が始まって間もないというのに、クラスメートの魔法の威力は俺の使える魔法よりもはるかに高く、魔力の消費量的に参考に出来そうにない。


火魔法を使えばその熱波・寒波が、着弾地点から20Mほど離れた所にいる俺のところまで届き、水魔法を使えば使用者の辺り一面が水浸しに。


風魔法はその特性上見えづらいはずなのだが、クラスメートの放つそれは何となくだが目に見えてしまうほどで、土魔法に至っては地面中の物質を鎧として全身に纏っていたり、地面の一部を隆起させて即座に攻撃を防ぐ防壁を作っていた。


俺は『全属性適正』と『全ステータス中』だ。


全属性適正があっても、魔法に関するステータスが『中』で、1属性のみの適正であっても魔法に関するステータスが『高』の人にはその属性では敵わない。


つまり俺は器用貧乏だった。


だから俺はカカロさんの班に割り振られたのだということに気付いた。


ステータスが『中』でも、全属性に適正のある俺ならぱ臨機応変に魔法を切り替えて近接戦闘が出来る。


それに、近接戦闘では補助的に魔力を使うだけだから魔法関係のステータスが『中』ならば十分すぎる上に、攻撃力が『中』でも魔法の加速で威力はかさ増しできる。


シスターたちは俺のことを勇者かと疑っていたが、どうやらそうではなさそうだ。


その事実に気付いた俺は、与えられた自室へと戻り、運び込まれた食事を食べて寝るだけの日を過ごした。


翌朝、気を取り直して訓練に向かう。


俺は、魔法に関しては『器用貧乏』止まりになるしかないのだが、近接戦闘に関しては極めることができる。


クラス転移してきた直後に、あんな大口を叩いたんだ。


精一杯やり抜いて、足掻いて、みんなで帰る。


その目標のためにも極めてやる。


俺は早速カカロさんに直談判して、訓練メニューを特別にキツくして貰った。


普通なら8時間ほど訓練の時間があるのだが、追加で6時間もカカロさんに1対1で指導して貰えることになった。


俺の武器は、右手に盾、左手にショートソードだったのだが、せっかくカカロさんに1対1で6時間も指導して貰えるので、右手もショートソードにした。


カカロさんの指導は武器の扱い方、体技、魔法を始めとして様々な訓練を行った。


バランス感覚を鍛えるために、50mほど離れた2本の杭に結ばれた綱の上を装備を付けたまま渡らさせられたり、魔法で加速する際に、加減を間違えても怯まないように、魔法を受けさせられたりした。


挙句の果てには、森で2日過ごす実地訓練では、俺だけ装備と食料を渡されたと思ったら1人で1泊過ごしてこいと言われたこともあった。(さすがに何かあったときに備えて、カカロさんがすぐに駆けつけれるほどの距離を保ってくれはしていた。)


そんな日々を過ごしていたある朝、同じようにメイドに起こされて、食事をしていると、突然カカロさんがフル装備で部屋に入ってきてた。


「悪いが今日の訓練は臨時で無くなった。自主練習も無しだ。部屋で1日大人しく過ごしていてくれ。」


「は、はい。わかりましたが一体何があったんですか?」


「…それを聞き返すか。」


「カカロさんがそんなに焦っているのは何か一大事があったんでしょう?」


「…わかった。装備が出来たら付いてこい。」


そう言わたので、急いで装備を付けてカカロさんに付いていく。


カカロさんに連れて行かれた先には、パンパンに膨らんだ大きなリュックを背負い、装備を整えたヴェルメさん、ニコラさんがいた。


カカロさんが、フル装備で慌てて部屋に入ってきた時点で何事かと思ってはいたが、予想以上に事態は緊急性が高そうだ。


「悪いな、遅くなったわ」


「カ、カカロさん? なんで彼を連れて来たんですか? 上からは私たちだけでしろとの通達があったというのに…」


「ん? まぁ1人くらいいいだろ。俺がわざわざ1対1で教えたんだ。実力は確かだし、丁度いい実地試験の機会だろ? なぁヴェルメ?」


「良くわからんが、やる気はあるようだな!大丈夫だろう!」


「えぇ… もう知らないですからね…」


俺を連れていって大丈夫かと心配するニコラさん、『よくわからないけどヨシ!』状態のヴェルメさん、相変わらずどこか面倒くさそうなカカロさん。


これでもトップクラスの実力者なんだよな…


「おーし、それじゃあ行くか」


そうこう考えていると、ヴェルメさんが出発の合図をだした。


俺は一大事ということ以外、何をしに向かうのか知らない。


「行くって何に行くんですか?」


「え! お、教えて貰わずにきたの!? ち、ちょっと! カ、カカロさん!?」


「あー 言ってなかったか。今からシシィ班の捜索に行くんだよ。一昨日、森で訓練するって言って出ていってから、連絡の1つすらないんだよ。シシィがいるから最悪の事態はないだろうが、覚悟は決めるべきだ。」


「…」


ギルドマスターであるシシィさんだけでなく、勇者と言われている森までいるのに、一体何があったのか。


俺の不安はさらに加速した。


「何ぼーっとしてるんだ? ささっと邪魔を排除して、連れて帰るぞ。みんなで帰るんだろ?」


カカロさんにそう言われ、俺は不安を誤魔化して3人の後を追った。


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僕の好きなクラスメートは神様の使者でした ~好きなあの子と付き合うために異世界を救いに行きます~ 午後の檸檬茶 @lemontea13

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