多才な子供⑩(完)
「俺たちは生まれた時代を間違えちゃったんだよ。戦争さえなければ……。でも、そう言ってばかりいられない。俺が戦争に行って勝たなきゃ、君もここの領民たちも荒野を歩くことになる。だから俺はまた戦争に行かなくちゃいけないけど、その時君はちゃんと役目を果たせるかい? 」
「ええ、私頑張るわ。貴方がそう言ってくれるなら。貴方の役目は戦争。私の役目は子育てよね」
「そうだね。戦争がなければもっとうまくやっていけたはずさ」
ローラは紅潮して、彼に少し身を寄せた。二人は同じ景色を見ているに違いないと思った。すると花壇の向こうにまた小さいローラが現れた。
「私のこと好き? 」甘くハスキーな声でローラが聞いた。
「すごく好きだよ」彼はそう言うとローラに肩を寄せた。
「私のことかわいいと思う? 」
小さいローラは慌てていた。花壇の向こうで必死にあがき、“ダメ! あなたはもう満足したでしょう! ” と叫んでいる。
「もちろん、すごくかわいいよ」
ゴーディングは子供のように間違えなかった。ローラは満足して、彼の頭を胸に押し当てた。
ゴーディングにはその小さいローラは見えていないようだった、そして彼は言った。
「でも、やっぱり子供が
小さいローラは消えてしまった。
多才な子供 ユキアネサ @bible6666
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