キミの猫になりたい
ばーとる
本文
三者面談で先生にぼろくそに言われた。何が「このままでは
私は、お母さんが運転する車の後部座席で、こんな
「これからはちゃんと
何も言い返さない。わかっているんだよ、そんなことは。
「わかったなら返事をしなさい」
「わかったってば」
お母さんは
ああもう
家に帰り着いた。
机から、インターネットで買ったバードウォッチング用12倍ズーム対応の
ベランダに出ると、ガビチョウやキジバトたちの
「さあて、ヒロシ君は帰ってるかな?」
私は建物をいくつか
ヒロシ君の部屋は二階の角にある。ここから見ると、ちょうど
ヒロシ君は、小学2年生の男の子だ。青いランドセルを背負い、
そのまましばらく待っていると、ヒロシ君が帰ってきた。油断をすると、よだれが垂れてしまいそうになる。
「可愛いなあ」
どうにかしてお近づきになりたい。でも、きっかけがない。だからこうして遠くから見守るのが、今のところは精一杯だ。
「アンタまた鳥見てんの?」
思わず
「ついさっき勉強について先生に言われたばかりでしょう。こんなことやってるから志望校がC判定なのよ」
やはりそんな話か。
「わかってる。もう少ししたら数学やるから」
「本当にわかってるんでしょうね?」
声のトーンが一段階下がった。最近テキトーに「わかってる」ばかり言うから、信用を失いつつある。まずいことだと分かってはいるけど、今この
しばらくすると、お母さんはため息をついて部屋の中に
さて、ヒロシ君が家に入ったということは、もうすぐ2階の部屋のカーテンが開くはず。男の子らしい
カーテンが動くのを待ち続けたが、しばらくたってもヒロシ君は姿を現さない。何かあったのかな。少し心配になる。もし、階段で足を
そんな私の心配は、あっさりと消え去った。ヒロシ君はちゃんと再び姿を現したのだ。2階ばかりを注視していたけれど、出てきたのは
そして、私にアイデアの神様が
私があの
ヒロシ君は
私は作戦を立てる。まずは
「ああああああああああ!」
ヒロシ君が
もうじっとしていることなんてできない。よし、買い物に行こう。私は財布とスマホを持って家を飛び出す。台所に立つお母さんに何かを言われた気がするけど、そんなことはどうでもいい。私は自転車にまたがって、2キロ
そういえば
パーティー用品と並んで、ナース服や警察の制服が展示されている。その中に
お買い物を済ませてお店を出ると、空が青から
明くる日の朝、私は学校に行く前にヒロシ君の家の近くに来ていた。目的はただ1つ。あの
それから数日、
そして、ついに名札を読むことができた。この子の名前は「
「ごめんね
赤い首輪を外して、私は学校に向かった。
1時間目の授業が始まる。先生の話が頭に入ってこない。
2時間目の授業が始まる。時間がなかなか過ぎないことにイライラが
3時間目の授業が始まる。ヒロシ君のことで頭がいっぱいになる。
ああヒロシ君。今から会いに行くからね。
とはいっても、今日は中学校の方が小学校よりも下校時間が早い。だから、ヒロシ君ハウスで
近所の人に見られないかどうかと考えるとドキドキする。ヒロシ君のことを考えると、もっとドキドキする。無事に、
なんだか手に
体感で3時間くらいが経った後、その時がついに来た。青いランドセルを背負い、
「お姉さんだあれ?」
ああああああああああ!
ヒロシ君に声をかけてもらえた!
「私は
ヒロシ君は目を丸くした。
私はにゃーんと鳴いた。これは結構
「ちょっと待っててね」
ヒロシ君はそう言い、
「おかあさーん!
えっ? お母さん家に居るの? いつも夜になるまで帰ってこないのに?
そして
キミの猫になりたい ばーとる @Vertle555a
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