変遷 ー裏設定ー

本文の方を読んでくださりありがとうございました。


人によってはちょっと難しいお話だったと思います。

現実ではあり得ない、ちょっと不思議なことを書きたかったんです。


まず、霧月とお姉ちゃんについて。

「霧月」という名前は、儚いイメージで名付けました。


作中でも書いた通り、2人は双子です。

イメージ的には中学生くらいでしょうか。

制服のままお家に帰らず、どこかで時間を潰して暗くなってから帰るみたいな生活。

双子の親は仲が悪く、喧嘩は日常茶飯事。

優しい性格の2人は、自分たちの親が傷つけ合うのを見ていられなかったんです。

お父さんとお母さんが大好きだから。

そんな思いが強かったからこそ、なのかもしれません。

2人の親の喧嘩は、双子の成績のことだと思ってくれればいいです。

霧月はお姉ちゃんと違い勉強もスポーツも苦手な方だったので、自分もしっかりやらなくてはという責任を感じていました。



※ここからは作中に書いてないことも含まれます。ご了承ください。

↓ ↓ ↓


そんな毎日を送っていると、霧月のもとに1通の手紙が舞い込んできます。

あらすじに書いた文章と同じものです。


______________________________________

  

  変わりたいと思えば変われる。

  新たにスタートを切りたいのならば、実現できる可能性はある。

  自分を変えたいのならば、成り代われ。                     

  始めの合図は11から。


______________________________________


霧月は初め、なにか怪しげな広告だと思い、捨てようとします。

だけど、どこか説得力のあるような、引き込まれるような文章に心を惹かれ、取っておくことにしました。

それに彼女は、まさに「変わりたい」と思っていましたから。


霧月の最初のセリフ「分かっていたんでしょ?」を補うと、

「変わろうとしていること、分かっていたんでしょ?」


お姉ちゃんの「…気づいた時、言ってくれれば良かったじゃん。」は、

ポストに入っていた手紙のこと。


霧月は、お姉ちゃんを悲しませないために、成り代わろうとしていることを隠そうと考えていました。

でも実は、お姉ちゃんも霧月が受け取った手紙を知っていたんです。

妹はそれに気づいたんでしょうね。


手紙に、「初めの合図は11から。」という言葉がありました。

…どういうこと? と疑問に思った人もいるかもしれません。


霧月の最後の言葉を見返してみてください。


い っ ぱ い あ り が と う ね 。


全部で11文字。

「11」の意味は、自分自身に向き合うこと。

新しい始まりを示した数字でもあります。

ちなみに、霧月の成り代わりは「鯉」です。

鯉は、縁起のいい魚としてよく知られています。


作中の最後に、お姉ちゃんが「またね。」と言うシーンがでてきました。

自分的には、「ばいばい」と「またね」は大きく違うところがあると考えています。

「ばいばい」はもう二度と会うことのない相手に。

「またね」はまた会うことのできる相手に。

(例え今までとは違う形になっても)


最後に、タイトルについてお話します。

「変遷」は、移り変わっていくという意味です。

作中に、3つの移り変わりを練り込みました。


1つ目は、この小説の一番重要な要素である、人間から鯉への変遷。

霧月は、死んでしまったわけではなかったんです、実は。


2つ目は、時刻の変遷。

夕方から夜中へと、空の様子が移り変わっていきます。


3つ目は、2人の心情の変遷。

重なったり、すれ違ったり。作中で、かなりこだわった部分でもあります。


1度めの風で揺れたのは、お揃いのキーホルダー。

2度めの風で揺れたのは、不揃いのリボン。

3度めの風で揺れたのは、同じ制服。


姉妹が同じ心情の時は、お揃いの。

食い違った時は、不揃いの。


…気づいていましたか?


これを踏まえた上でもう一度読んでみてください。

また違った見方が出来るかもです。

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変遷 はいね @haine1101

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