エピソードR③

ガチャリ


また扉の開く音がした。

「外、雪がすごいね。あ、目覚めたみたいだね。あのまま寝てたら寒さで死んでたかもよ。」


抑揚のないけど聞き取りやすい声が俺に向かって届いた。


礼を言うために振り向くとそこには、、


セットアップのライダースでスラッとした身体に、何処か儚げなショートで眼鏡を掛けた女の人が立っていた。


普段の周りにいる同級生や家族、知り合いとも違った姿に、おそらく俺は見惚れて居たのだろう

その女の子ではなく女の人に


「あ、は、はい」


ようやく絞り出した声に男性は入ってきた女の人をみながら


「理沙、お前が拾って来たんだちゃんと面倒見ろよな?少し頭が混乱してるみたいだが一応無事なようだ」


理沙と呼ばれた女の人は


「あ、うん、キミ、大丈夫、、みたいだね。ここは私の叔父さんの店の控室、昨日キミは酔いつぶれてゴミ箱で寝てたから拾って連れてきた。」


なんか、綺麗だ…そして表情が読めない。


俺の第一印象だった。

「拾ってきたってペットじゃねぇんだから、んでどうするんだこの小僧」


「ん…」

多分なにも考えて無かったのだろう

目を虚空に向けながら考え…おそらくフリをしていた。


俺は咄嗟に


「暫くココに居させて下さい!」


叫ぶと言うにはか細く、つぶやくと言うには力強く言っていた。

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何処にでもある小さな記憶 @tsubasa-emanon

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