逢瀬っかい

高黄森哉

サユリちゃんゴメンね

 四月に光彦くんと出会ったサユリちゃんは、私の元に、彼が好きだと報告してきた。なので、私は彼女をサポートすることに決めた。サユリは、独りじゃなにもできないタイプの人間で、つまり今回も私の助けを必要としているのだ。まったく、は私がいなきゃ、本当にどうしようもないんだから。


 サユリが涙目で、犯罪の報告をしたのはそれから二か月後の六月。彼女は就寝中、何者かに髪の毛を切られてしまったとのこと。犯人が誰か分からず、おびえているとのことだった。馬鹿だなあ、サユリは。そもそも、合鍵をもっているのは私しかいないじゃないか。それに、その髪型、光彦君すきだよ。


 光彦君と親しくなって一週間がたった。私は光彦君について、もっと知る必要があった。彼が好きな食べ物から、お洋服まで、丁寧にリストアップしていった。サユリには、私が意地悪をしているように見えたのか、親友に裏切られた、ストレスから痩せていった。それでもいいのだ。なぜなら、光彦君の好みの女性はやせ型だから。


 深刻な表情で毎日を過ごす、サユリは、私から見ても魅力的だった。あのころのヒマワリのような快活さと、今の儚さのギャップが、庇護欲をくすぐられた。それは光彦君にとってもそうだったようで、彼は私に彼女の話をしてくれた。彼の背中を押してみるが、冷ややかな反応を示した。これには困った。


 私はやることなすことが裏目に出ている気がして、大いに悩んだ。光彦くんの行為が頭打ちになり、ひいては下降していた。原因は、サユリの自傷行為である。サユリ自身も痩せすぎている。私は彼女の自傷を止めさせる必要があったので、単身、彼女の家に乗り込んだ。その時、サユリは自慰中であった。彼女は窓枠に乗り、部屋から離れた。


 サユリが死んでから、私は満足ずくめだった。まず、サユリが自傷行為をしなくなったこと。次に、光彦君の好感度が上がったこと。そう、彼はネクロフィリアだったのだ。私たちは今、サユリを乗せた車椅子で、森に来ている。光彦君とのデート。まったく、はサユリがいなきゃ、本当にどうしようもないんだから。

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逢瀬っかい 高黄森哉 @kamikawa2001

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