二章 祝賀パーティー④
「ユスティネ王女
入場者達の最後に名前を呼ばれ、広間に続く階段の前に立つと、
周知していたとはいえ本当に登場するのか疑っていた者も多いらしい。
(やっぱり注目を集める事になったわね。ここからが勝負よ)
高い
全員から受ける
ほぅ、と若い世代の出席者から
わたしは思わず
「始まったばかりで
うむむ、相変わらず手厳しい。
「転げ落ちそうになったらあなたが支えてちょうだい。今日はパートナーでしょ?」
「でしたらご自身もパートナーとして
しっかり
会場の
リュークの
「初めましてユスティネ王女殿下。お目に掛かれて光栄です」
「以前遠目から拝見した事はありましたが、これほど美しい方だとは」
「ええ、本当に。それにお召しになっているドレスはどちらの
「ありがとう、みなさん。こちらこそこうしてお会いする事が出来て
にこやかに受け答えしているうちに彼らの
口々に褒めたたえてくれるのはやはり同じような年代の若い人達が多い。
「それにしてもリューク様が
これは明らかにお世辞だろうが、
(しぶしぶ保留にしてくれたけど、リュークは
ちなみに今、リュークは少し
少し遠い場所にいる彼を目で追った。
人々に取り囲まれていても、目を引く
普段から
(これであの冷たい目と無愛想がなければ、どこかの王子と言っても通用しそう)
つい、長く見過ぎたせいか目が合ってしまう。
内心の
(だから、そういうところよ!)
全くサービス精神のない婚約者(候補)を不満に思う。いや、それでも出席を許可してくれただけでも良しとするべきなのか……。
そんな風に
「本当にこの場でお会いできて幸運でしたよ。ですが、そのドレスは……」
いかにも頭の固そうな初老の男性が少しだけ
(ふふ、待っていたわ! 最後まで言わせない、先手必勝!)
「ええ、とっても素敵でしょう? リュークも素晴らしいと絶賛してくれましたの!」
いかにも
非常に淡々として本音は分からなかったが、確かに褒めはした。
「リュ、リューク様が?」
「そうですわ、ヘンドリック。あなたからも
この数分の間でしっかり顔と名前を暗記している事を暗に
「まあ、リューク様が?」
「確かに伝統的な
それまで判断を保留していた人達も、領主であるリュークが認めたと聞けば追従するように認めてきた。というか、想像以上だ。
「あー……はい、本当に
敗れ去ったヘンドリックは何一つ自分の言葉を
(イメージの改善を
わたしは
(目標は果たせそうだし、この調子でもう一つの目的も達成できるかもしれないわね)
リュークは止めたが、この会場のどこかに裏切り者がいるのかもしれないのだ。
今日ほどのチャンスはそうはないと会話の
● ● ●
功績を称える祝辞も終わり、すっかり
(うう、なんだか
目の前の人物が嘘をついているかもしれないと
そう思うと十六歳からたった一人領主として上に立ち、年配の有力者達を立て、領民や使用人達の不満を解消し、
(うーん、これは……なにかわたしも役に立つところを見せなければとても領主夫人にはしてもらえないわね。お兄様達には
立場が違えばすべき事も違う。
そんな事を考えていると背の小さな、
「これはユスティネ王女
「ご
モンドリア伯爵はフローチェ
長年領主の一族とは付き合いが深く、広大な領土内の業務をいくつか共同で行ったり、場合によっては一任されているという。先代領主が
(バルテリンク周辺に住む数少ない貴族。年回りの近いフローチェとの
モンドリア伯爵からは
「今日は素晴らしい衣装ですね。お美しい王女殿下によくお似合いだ。
今日のわたしを見てフリルやレースに
「ところでユスティネ王女様にお会いするのは、当主の間での婚約解消
伯爵は声を一段低くしてそっと
なるほど、もっと噂になるかと思いきや誰にも言われないと思っていたらリュークが口止めをしてくれていたらしい。
「しかし私は分からんのですよ。あのまま王都に帰られた方がずっと良かったのではないのかと……」
「それはないわ。わたしは帰らなくて正解だったのよ」
未来を見てきた実体験から自信満々に言い切った。
そこまで迷いなく言い返されるとは思っていなかったのか、伯爵はわずかにたじろいだ。
ふん、こっちは
「……いや、
「え?」
「
伯爵は
確かによそ者に対して
「お
「……ご忠告ありがとう」
◆ ◆ ◆
続きは本編でお楽しみください。
傲慢王女でしたが心を入れ替えたのでもう悪い事はしません、たぶん 葵 れん/角川ビーンズ文庫 @beans
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