第60話 ムギニ団!
「災害と言っても所詮は人間、逃げるしか出来てないじゃないかハッハッハ」
そう言って高らかと笑うのは6本の腕と黄色い肌が特徴的な魔族のムギニ。
「我がムギニの団だけで来て正解だったな」
事の発端はムギニの率いる団員からの報告。
4人で魔物を狩っていたらここ最近『災害』に認定された人間を見つけたと言う情報、ギルドへ報告せず、団員全員を集めて勝手に討伐に来たのだ。
「所詮はただの人間、調べたがそんなに強いのか?まったく強さについて書いてなかったぞ、それにクリスタルドラゴンより圧倒的に小さい!」
今まで『災害』認定された魔物はこの世で4匹……いずれもその名に恥じぬ強さである事は誰もが知ってる。
だが今回、新しく出た災害は人間という事以外は何も情報が出ていない。
参加して生きて帰ってくるだけでも大金が貰える災害討伐戦……そんな対象の首を取ったとなれば魔族にとって伝説として語り継がれるだろう。
「ガッハッハッハ!考えるだけでも未来安泰でよだれが出るぜ」
だが、彼らは舐めすぎていた____
「ん?なんだ?」
災害と言う人間を。
「うお!?!?」
空飛ぶ丸太は一瞬でムギニの手前に刺さり、ムギニは驚いて尻餅をついてしまった。
「な、なんだ!?」
「ふむ……おい無能、貴様達のリーダーは誰だ?」
災害は白銀の髪をポニーテールに結びながら尻餅をつく“リーダー”に話しかけた。
「っ!?」
「あれは超級魔法と言うのだろう貴様一人如きが出せる物じゃないとも聞いた」
「う、うるせえ!この!」
ムギニは体勢を整え、自慢の6本腕にそれぞれ大小形様々な剣を持ってネバーに斬りかかった!
「しねえええええ!」
「……」
だが一瞬で一本を残してネバーに全て折られる。
「いっ____!」
一本を残して____残りの“腕”は全てあらぬ方向へ曲がっていた。
「いてえええええええええええええええ!!」
「ふむ、剣もマスターが適当に作った物の方が頑丈だったぞ」
痛みで転がりまわりながら叫ぶ相手を無視して落ちた剣を見て感想を述べる。
「いてえええ!いてぇよ!」
「おい」
「ひぃ!?」
ムギニの防具の胸元を掴む。
鉄製の鎧の様な防具で掴むところは本来ないのだがネバーの握力でボロボロになり掴めるように変形してるのだ。
「遠くから見て隙を見せた無能はお前だけだ、リーダーはどこだ」
「俺が、俺がリーダーだ!!!」
「は?」
「ムギニ団団長のムギニだ!」
「…………」
ネバーはムギニを離し、また尻もちをつかせた。
「な、なんなんだよお前!」
「くくくははははははは!お前が?リーダー?てっぺんが1番無能だな」
「なんだと!」
「だが、カリスマ性は少しはある様だな、お前の声で動揺した仲間達が次々に見つかったぞ」
ネバーは先ほどムギニが落とした剣を森林の暗闇に向かって投げると何かに突き刺さり悲鳴が聞こえる。
「今、どんな気持ちだ?」
「このやろう!」
仲間をやられたムギニは激怒し最後の一本で力任せに攻撃した!
「そう、怒るよな?仲間を攻撃されたら__」
「ひ!?」
だがネバーはその剣を掴み、睨みつけ殺気を放ちながら低い声で話す。
「それを先程、私がやられたんだ」
そのまま剣を引っ張り体勢を崩させ、首を掴む。
「ぐ、ぁ…」
「他人がやられて良いのに自分がやられると悪い、なんて事は思ってないだろうな」
「ぎ、ぐ……る、じぃ」
「あぁ、そうか……“人”じゃないもんな」
ムギニの脳の危険信号が鳴り止まない、目の前が真っ白になっていく。
「や、やべろ」
「お前達魔族が人と言われるのがめちゃくちゃ不快だし謎すぎる」
「助けて……くれ」
「助けてだと?俺たちを殺そうとしたのにか?」
「じ、情報をやる!」
「ほう?」
ネバーは手を少し緩める。
「面白い……この状況、お前の命と天秤にかけるほどの情報があるのか?」
「あ、ある!お前達、災害と言われてるが指名手配犯だろ!だから魔皮紙とかの供給が無いはずだ!」
「…………」
「俺はそれを解決できる場所を知ってる!」
「…………なるほど」
そこまで聞いてネバーは拘束を解いた。
「ゲホッゲホッ……」
「嘘じゃないだろうな?」
「嘘ならこの時点で一か八か逃げてる!だから嘘じゃない!」
「それもそうだ」
「……助けて、くれるのか?」
「まだ信じたわけじゃない、今すぐ他の奴らを引き上げさせろ」
「ひぃっ!!わ、分かった!言う通りにする」
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異世界テイマー生活!……あ、僕が使われる側なのね…… しぇいく @Syake35
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