月曜日の魔物

大和田 虎徹

月曜日の魔物

 月曜日、全てのものが眠る夜。私は“狩り”に出かけた。私に名前はない。性別は……どちらだろうか。多分男なのだろうか、しかし……男性にあるべきものがない。多分、内臓もない。「内臓がないぞう」というやつだ。

 私は人間ではない。内臓がない人間がどこにいる、という話だ。しかしだったら何なんだと言われると、わからない。しかし、ロボットは確実に違う。うっかり“狩り”の時にしくじったときに腕を切断された。そうして中身が出てきた。赤くはないが、体液が出てきた。

 月曜日の夜にやることは、“狩り”としか言いようがない。黒くてドロドロで接していると気が滅入るそれを狩っている。月曜日のみに働くのだが、私の身体は回復に少なくとも三日はかかるのでどうしようもない。しかも、狩るべきそれはどういうわけか月曜日の夜にしか出現しない。


「もう、やんなっちゃうよお……」

 首をつる寸前の男性が一人。彼に絡みつくように例のドロドロしたヤツがあぶくを立ててうごめいている。仕事の時間だ。

 右手には長剣、左手にはサイレンサー付きの特製拳銃。仕組みは不明。まずはへばりついたそいつを長剣でそぎ落とす。しくじると男性の方が心的外傷になりかねないので、素早くかつ丁寧に作業しなければならない。今回は成功した方だ。

 男性から離れたそいつを、路地裏に誘導する。いくらサイレンサーがついていようと、匂いやわずかな音で存在が知られてはならない。人間は、人間以外の知的生命体をまだ認めていないのだから。

「今日の仕事は終了」


「……でも、映画まだ見てないな」

 私は月曜日の狩人。月曜日の魔物を狩る者。月曜日に人を堕落させる魔物を人知れず人ならざる者。

「『踊るソーランわくわく裸踊り』は、東京でしか上映してないのか……有休取れるかな」

 人間ではないので、人間の感性はわからない。

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月曜日の魔物 大和田 虎徹 @dokusixyokiti

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