第6話 ヒロインの名前は

ヤツの自己紹介が始まった。

一時はどうなるんだろうと思ったけど、先生が何とか制してくれた。僕的にはもっと早めに抑えろと思うけど、そこは何も言わないで置こう。


「あたしの名前は姫神ひめがみ ことと言います。天然と良く言われますが、運動神経バツグンです。中学の時は陸上で全国2位になった事もあります。ただ、勉強が苦手なので、教えて下さいネ」


ネ。じゃねぇ。っと教室内の全生徒が思った筈だ。

名前は分かったが、見た目だ。JKっぽい名前だけど、性別はなんだ? 完全に見た目は男。いや漢だ。

先生も少し困っている。教室内がそんな疑問で、1つに纏めろうとした時に、西村くんが動いた。

西村くんは、見た目、メガネの秀才くん。

国民的アニメに出てくる主人公に似ている事から、みんなからは西村くんと呼ばれている。みんな、国民的アニメの主人公の名は呼びたくないみたいだ。色々な理由から。


西村くんは黒フレームのメガネをくいっと上げて、立ち上がる。

まるで、本当の主人公の様な佇まいだ。


「先生、質問があります」


甘い声だった。

余裕に溢れた声だ。

一斉に西村くんへ視線が向く。


「なんですか? 西村くん」

「姫神さんは、男子ですか? 女子ですか? ノンバイナリーですか?」


西村くんの発言で、沈黙が包む。

先生は、自分で発言せずに昭和顔のヤンキーに視線を向けた。

すると、姫神は、大口を開けた。

僕は、ドラゴンボールのナッパが口からエネルギー弾を出す所が想起された。

リクームでも良いけど。

そんな姫神は、口からエネルギー弾を出す事はせずに、叫び声の様な悲鳴を上げた。


「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁ」


教室中の窓ガラスがその悲鳴に伝播されたみたいに振動した。僕も含め、全員が耳を手で塞いだ。


「あたしはぁぁぁぁ。女子だよぉおぉ。もうひどいよぉぉお」


大粒の涙と、大声のタブルコンボ。

それよりも女子なのか?

完全にイカれた女装野郎と思っていた。ってか、本当か? ヤツの証言のみでは、立証が出来ない。

ここは、女子が率先して、調べて欲しい。


「あの〜」


西村くんは、まだ良い足りない様だ。

耳を塞ぎながらも、コメントしている。

さすが、西村くん。

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ライトノベルなラブコメなんていい加減にしてくだい 火雪 @hi-yu-ki

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