第5話 再登場

ゾクゾクが止まらない。体の内から震えの様な悪寒が走る。今からあの昭和顔のヤンキーがJK口調で登場!? 


え? 地獄だ。

そして、お約束通りに僕の顔を見て、


「あ〜朝のアイツ!!!」


そして、そして、先生が、


「なんだ? お前ら知り合いか、丁度良い、酒見お前がこの子の面倒を見ろ?」


って、なるパターンだ。

でも、この場合、転校生がクソバリ可愛い子だったら良いけど、男だし。んで、ヤンキーだ。もう拷問だろ? 羞恥心を崩壊させる悪魔だよ。

あ〜勘弁して欲しい。

出来れば、今朝のアイツは手違いで、実はもう1人の転校生が存在する! ってのは無いか。

完全にアイツだよなぁ。


僕は項垂れ、腑抜けながら、黒板を見る。こう見えて、成績は上位だ。昭和顔のヤンキーが嫌だという理由で、授業を疎かには出来ない。理由にもならないし。

教師が軽快にチョークで板書する中、僕もノートに書き写す。

いつも考えてしまう事だけど、黒板の文字をノートにそのまま、書き写す意味が分からない。自分なりにアレンジしてしまったら、駄目なのだろうか?


けどなぁ。


周囲を見渡す。

他の生徒も、書き写しに必死で、アレンジを滑り込ませる様な余裕が無い。


あの先生、書くのと話すの早いからなぁ。


同じ境遇なのに、自分だけは違うと見下すのは、僕の悪い所だ。この黒板の文字をノートのそのまま書き写す一連の作業は、眠気覚ましだ。つまり、退屈な授業を寝ない為の予防策。そう思う事にしよう。

僕はカリカリとノートを書き写し、やっと全ての文字を書き終えた所で、教室の扉が開いた。


「遅れましたぁ〜今日がここでお世話になる。あ!!!! アンタ! 朝の変態!!」

「「「「え?」」」


教室に居る全員が僕を見る。

ってか、みんな、転校生の顔を見れや!

こんな昭和顔のヤンキー見た事あるか?

なんだよ。この小麦色の肌。油っぽい顔面。細い眉毛に細い目。口もたらこだし、ケツアゴ。

そしてあのガタイ。何よりリーゼントよ。

有り得ないし。リーゼントって言っても、あの角みたいな前髪をリーゼントって言わないらしいけど、正しくはポンプとかクイッフが正解。


いやいや、どうでもいいけど。


あ〜なんだよ。こんな古典的パターンは美女とやりたい。


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