生月

「見えてきた‥後少し‥」


数年ぶりにやってきたあの場所。


『おお~♪さっきまで草木が茂ってるトコを歩いていたから気付かなかったけど、月明かりだけで人影がくっきり映る♫』


「ああ。月明かりで出来る景色見せたくて、この日を選んだんだ‥‥。あっちの方で見れるからもうちょっとだけ歩いて」


『ハイハイ♫』


…………


「ほら、彩音、ココだ‥‥」


……


…………


「彩音?」


『うっっはっっっ━━━!!!すっっごいキレ━━━━!!♫』


こだまとして返って来るのかと思うくらい、彩音の歓喜した声は大きかった。


『住み慣れた地元さえもこんな素敵な場所があるとは♪感無量ですネ~♫景色に加え風や川の水の音色。言うことナシ♫』


「はは‥‥。そうか‥‥」


……


あれ?

さっきもしかして俺‥‥、


声出して笑ったか‥‥?




……


久しぶりだが改めて見るとホント、綺麗だ‥。


この景色だけじゃない‥。


彩音だって‥‥。




今見てるこの景色の様に、月が生きる活力を与え暗闇を彩り音を奏でる。


……


「彩音‥‥」


『ん?なーに?♫』


………


「今だからハッキリと言える‥‥。‥‥俺は俺自身の今までの人生1秒足りとも無駄じゃなかったと‥‥。やってきた事、選択した事に悔いは無いってこと‥‥」




「こうして彩音と一緒に居られるから‥‥」




『うん。ありがと。』

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一匹狼男さん。やっと言えました。 サガトワ @BigChap

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