最終話 最終決戦(後編)
立つものギリギリの状態にも関わらず、幹部2人と互角に戦っていたシャドウと影光。すると、突然2人が顔を見合わせるとアレスがその場から離れ始めた。シャドウはその後を追おうとしたが、ハデスに遮られた。勝負が一瞬止まったとき影光は周囲の光景に何か異変を感じた。周りを囲んでいた戦闘員たちが慌ただしくなり、彼らの視線の先には仲間が倒れていた。影光が近くに行くとその者は亡くなっていた。人混みでわからなかったが死んでいるのは1人2人ではなかった。彼の思考が追いついていない中でも敵が1人また1人と倒れていった。その時少し離れた所からシャドウが呼んでいるのに気づいた。駆け寄ると、シャドウの目の前でハデスが倒れ死んでいた。何が起きているか理解できなかったが、このチャンスを逃さないと本部へのほうへと向かった。建物が見えてきた辺りで人が立っていることに気づいた。2人はゆっくりその人のほうへ向かった。しかし、近づくにつれそれは敵ではなくパンドラだということに気づいた。シャドウは無意識のうちに駆け出していた。2人は再会を果たし、それを噛み締めるように抱きしめ合った。後から追いかけてきた影光はパンドラの姿を見るや否や膝をつき頭を下げた。
自身の記憶が戻ったことを2人に話し、今起きていることは全て自分がやったことを話した。すると、そこへセーヴィスがアレスを連れてやってきた。
「パンドラよ。これは、全てお前がやったのか」
低い声でセーヴィスは話した。パンドラが肯定すると、セーヴィスの顔は怒りに染まり、攻撃を仕掛けてきた。しかし、それをシャドウが止め、続くように攻撃を仕掛けてきたアレスの動きを影光が制した。緊張状態の中、セーヴィスは話し始めた。
「お前は今まで人々を殺し、数え切れない星々を消滅させた。今更、光が当たるところを堂々と歩けると思っているのか」
セーヴィスは自身の敗北を察しているかのようだった。パンドラは一言、
「光なんていらない。影に生きる一族だから。」
そう答えたあと、近くにいる影光、そしてシャドウを見た。心が通じたかのように3人は頷きあった。
その様子を見ていたアレスは深いため息をつくと、
「お前を殺す機会はいくらでもあったのにな。これが自分の弱さか」
「あのとき、アレスに出会っていて良かったと思っているよ。記憶のない私にとってとても心強かった」
パンドラがそう言うと、アレスは一瞬驚いた表情を見せたかと思うと、うっすらと笑い、その場に倒れた。パンドラの盛った毒がこの時効果を発揮したのだ。
「とうとう、息子も逝ってしまったか」
セーヴィスはこう呟くと、空を見つめ独り言のようにこう言った。
「世界にはもっと深い闇がある。闇は消えることはないだろうな」
するとシャドウはこう言った。
「僕たちが祓ってみせます。皆が怯えず安心して暮らせるように」
セーヴィスは「そうか」と一言言うと、その場に倒れた。残っていた戦闘員たちもシャドウの騎士団により全滅した。
長い戦いが幕を閉じた。多くの犠牲者を出した一連の戦いは、誰もが予想だにしない結果に終わり、シャドウたちの勝利に終わった。
その後、3人は姿を消した。影の一族としての役目を果たすため。光の当たらない場所から世界の平和を守り続けている。
シャドウの僕とパンドラの彼女 瑠璃川あおい @takamusu
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