第15話

季節は流れ、春が来て夏が来て……秋が来たら冬になり。

そしてまた、春が来る。

私の大好きな2人は、変わらず寄り添うように歩いている。

喧嘩はした事が無いらしい。

たまちゃん曰く

「毎日が口喧嘩だからね」


たまちゃんは知らない。

田川君が、たまちゃん以外とは寡黙なこと。

でも、それは知らなくて良い事なのかもしれない。


私も石橋君と結婚して、娘が2人出来た。

あんなに遊び人だった石橋君が、教育に厳しくてびっくりしている。

子育てに追われながら、時々、たまちゃん家族と小野君夫婦(何度となく別れたりくっついたりを繰り返し、結局、ち~ちゃんと最近、結婚した)とあちこち旅行に行ったり、遊びに行ったりして、今では家族ぐるみの付き合いをしている。

そうそう!たまちゃんが産んだ男の子。

たまちゃん似なんだけど、超イケメン!

田川君が、今から

「健太みたいにならないように、しっかり教育しとかないと……」

って呟いていた。

それには私も同感。

田川君は、自分に似た娘が可愛いらしく、あれを目に入れても痛くないと言うんだろうと思う位に溺愛している。

我が家は私の遺伝子が強いらしく、二人とも私の小さな頃にそっくりで、家族からも石橋君からも「コピー」と呼ばれている。

あの修学旅行の班決めから、まさかこんなに長く付き合う事になるとは思わなった私達6人。

初めはバラバラだった苗字が、月日を経て3つの苗字になった。


ち~ちゃんの理想の家族も、田川家のような家族らしい。

きっと、私達の子供達も、いつか私達と同じような悩みを抱える日が来るだろう。

そんな時、優しく背中を支えて上げられる母親でありたいと思う。


自分を卑下して俯いていたあの頃の自分に言って上げたい。

『大丈夫だよ!もうすぐ幸せな未来が待っているから!』

って。


きっと、私達はおじいちゃんとおばあちゃんになっても、6人で楽しく縁側でお茶飲みしている関係なんだろうと思う。

そんな未来も、今から楽しみだ! [完]

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蚕の恋 青空 @Aozora_6

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ