禁軍へ(其の六)
「
「やむを得ぬでござろうな」
「
「閣下御自らお相手願えるとは光栄の至り。ぜひ、そのように」
「よし、決まった」と、
「「いま、すぐでござるか?」」
「任命書には期限があるゆえな。悠長に構えてはおられぬ」
「だが、両陣営から立会人を出すのがしきたりでござろう」
「なに、
「しかし、しきたりなれば……」
そう言って渋る
「さすがは
と、一人肯き、納得するのであった。
「しかし、もはや時代は変わり申した」
「いやさ、
食い下がるどころか、一瞬で勝負がつく可能性もあった。
さすがに心穏やかでいられぬ
「わかっておるな、
「はい」
「まずは、その緊張を解け。力の発揮できぬまま退場するのではシャレにならん」
とはいえ、相手は齊の二天と呼ばれた
少なくとも、蛮龍を素手で倒した
そんな
(この仕合で一族の命運が決まる)
そう思えば、緊張するなと言うほうが無理であろう。
――さて、どうしたものか。やはり唐突にすぎたか?
このような精神状態では、十分に実力を発揮するのは難しいであろう。
だが、それもまた実力のうちといえる。
相手によって心構えがころころ変わるようでは、武人としていかにも未熟であった。
(相手に萎縮し実力を発揮できぬなら、それもまた実力であろう)
できぬなら、しょせんそこまでの男。
夢幻大陸戦史 令狐冲三 @houshyo
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