大人ではない子どもだからこその……

想い人の異形への恋。

片想いモノではあるのですが、"人ではないモノ"の存在と諦念めいた語り口が独特の世界を描いています。
どこかにいそうなクラスメートに、どこかにありそうなため池のある町。そんな日常のすぐ隣にいる人魚という非日常。

それを前に、彼女の苦悩や思考がさらさらと描写されていくのが芸術的で素敵です。
彼女の苦悩は難しいテーマのようでもありますが、スーッと飲み込めて、グーッと胸に何かが広がるような気がしました。