きりぎりすとあり

まさひろ

キリギリスとアリ

その昆虫王国でアリ達は一生懸命働いていました。毎日毎日働いてました。アリ達は自分は一生懸命働いて他の怠け者はダメなやつらだと思っていました。

一方キリギリスは毎日うかれて音楽で神様を賛美していました。神様に生かされてることを感謝すると歌い続けていました。

朝日が登れば太陽に向かって、昼はお昼ご飯をみんなで囲んで、晩は楽しく今日1日のことを語らいながら感謝して神様を賛美していました。

キリギリスの仲間はダメなやつが多かったです。あるキリギリスは「俺は本当にダメだ死んだ方がいい。なんでこんなに下劣なんだ、しかも足は無駄に6本もある!」と、そういうと別のキリギリスが「君が辛い時もキリギリスを作った神様は君のことを愛しているよ、僕も君のことを応援しているよ、6本の足だって、その一本一本に神様が意味を持たせているに違いない」と歌いました。ある奴は毎日お酒でぐでんぐでんになって、次の日の朝に「俺はいつまでも酒がやめれない本当にクズだ。キリギリスの中でも俺が一番クズだ、断酒会とかで集まっても断酒会のキリギリス仲間で飲んでる!」と、仲間のアリは「お前が自分をクズだと思っても、キリギリスを作った神様はお前を愛しているよ」と歌いました。また別のキリギリスは「キリギリス通し愛し合うとか言うけど、自分が他のキリギリスに愛されてる事が実感できない」と毎日リストカットやアームカット(腕は6本ですが)...。ある奴は「俺は何でもできる世界中をひっくり返す発明をした」と言って訳のわからない設計図の書かれた紙切れを渡してきます。別のキリギリスは浮かれまくっていたと思ったら急に深く落ち込んで自ら命を絶とうとしたり。

でも、キリギリスは誰かが自分を惨めに思ったり、道理におかしい事をしても、いつも自分たちが生きていることを感謝したり、他のキリギリスが誰かを慰めて歌い続けました。ダメな自分たちを慰め合い、歌い続けました。

月日が経ち、アリもキリギリスも死にました。


・地獄の裁判


さぁ天国に行くか地獄に行くか分かれ目の裁判。閻魔大王にアリはこう言いました。

「僕は地上にいる間一生懸命働いていました。他の怠け者と違って僕こそ天国にふさわしいものです。天国のそれも一番極上の席に僕を座らせてください」。


キリギリスは言いました。「僕たちは天国に行っても、変わらず神様を賛美して音楽を奏でます。地獄に行っても僕は神様を賛美し続けますし、僕たちが地獄に行くのは、僕らは生まれた時からのならず者で、生まれた時から地獄に行くことは承知だった様な物です。それに僕らは下劣だし、アリさんの様に地道に努力もできない。毎日酒がやめられないし、自分を信じることすらできない。僕らは地獄がお似合いです。どうか僕らではなくアリさんを天国にいかせてあげてください」

きりぎりすとありの言い分を聞いて、そのまま閻魔大王はありを天国に行かせて、キリギリスを地獄に送りました。

アリは天国で、一番上の席でしたが、自分より怠けてる人はいないか?ずっともっと上の席はないか?そう探し続けてずっと怒っていました。終わりのない天国でいつまでもいつまでも自分より怠け者はいないか怒っていました。

キリギリスは地獄に来ましたが、「それでも愛しあいながら生きている。地獄だって住めば都じゃないか、なんて素晴らしいんだ神様ありがとう」と神様に感謝し続けてみんなで幸せに暮らした。地獄には豪華な席は一つもありませんでしたが、お互いに慰め合って助け合っていつまでも歌い続けて暮らしたとさ。


めでたしめでたし。


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