○本当に怖いホラーを読みたい方へ。ホラー好き大満足の本格派!
- ★★★ Excellent!!!
私の求める本格ホラーの要素が全部盛りでした!
1つ目、怪異はしっかり怖いこと。怪異に関してはグロくても読みます。だって意味のあるグロだから。
2つ目、グロ以外のしんしんと迫りくる怖さもある。実際には何も起きていなくても、鏡に変なものが映ったり、プールのはしに影が落ちていたり、ぞっとする描写がしっかり怖い。
3つ目、怪異の理由にミステリー仕立ての「理由」がある。祓ったり倒したりするときにもこの「理由」が生かされる。
ホラーって、怪奇現象⇒関係者の抱える問題⇒解決へ、という推理物にも似た構造があると思うんです。ここがしっかり満たされる上、章の最後に種明かし的な解説をはさんでくれるのも親切でありがたい。
自分の予想があっていたか答え合わせをしたいので、「読者の想像にお任せします」にならないところが好き。
てっぱんホラーの条件を満たしているだけでなく、キャラが立っているのも楽しいです。
主役二人の関係が、恋愛とバディ物のあいだを行くのも、すっごく好み。恋人である前に、仲間であってほしいから。
それからもうひとつ、怪異の「陰の気」を払うように食事シーンが出てくるのも楽しい。本当においしそうですよ。
最後に、怪異に関わる「被害者」とも「加害者」とも思える登場人物たちの人間ドラマも見事です。
単に怖いだけではなく、生きた人間の悲しみや憎しみ、嫉妬や憎悪が絡んでくるから、共感できることでさらに鳥肌が立つ。
というわけで、ホラー好きなら読まなきゃ損です。「ケース」ごとに伏線は回収されていくので、短めの「ケース1」だけでも読んでみてね!