夢日記:サモエドと店長
高黄森哉
夢
・川
川が前方に流れている。茶色く濁った川。幅は七メートルほどで人が泳いで渡れそうだ。流れはやや速いが、流されるというほどでは無い。探検帽をかぶった仲間がいる。この仲間はまったく知らない人である。知らない人が川に飛び込む。昼間に視聴したテレビの探検隊の作り話に影響されていることは、明白だった。
次は、自分の順番。この川を渡るとき、息継ぎをしてはいけない。それは、川の水を飲むと寄生虫が入るからだ。同様の理由で、目を開けてもいけない。昨日、寝る前に読んだ寄生虫の話が、夢に侵入してきたのだと思われる。そして、おそらく、それ以上の意味はない。
川を渡り終えると、南米のような風景が広がっていた。標高が高く、下の方に町が望める。これは、アンチャーテッドに出てきた街に瓜二つであった。なぜ、昔したゲームの街並みが、今になって、夢に出てきたか不明である。濁った川から南米を連想し、そこから、ゲームの景色が再生されたのかもしれない。
・教会
ここで、場面が切り替わり、突然、ゲーム世界となる。あまりにも、脈絡がないので、もとは別々の夢だったと考えるのが妥当なようだ。それが、朝起きて夢が思い出されるときに、繋がってしまったのだろう。
ゲームのノイズが走っている。画質がとんでもなく荒く、画面の端っこは、ブラウン管のそれのように湾曲している。町全体が霧がかかっていて、この霧はゲームの描画限界のために発生したのだと、夢の中の自分は納得している。
廃虚の協会が霧の中に見える。自分は、生きる糧を得るべく教会を訪れる。机の上にミイラが寝ていて、このミイラはフォールアウトの敵キャラ、グールだ。引き出しを見ると、中が空である表示が出た。
この荒い画質と、ゲーム、ローポリの荒廃した町、描画限界のために起こる霧には、心当たりがあった。これは、デザインにおける、ヴェイパーウェイブの手法である。この手法を知ったのは、夢を見た日の午後、学校で携帯電話をいじっているとき。私は現実の技法を、夢で実験してみたようだ。我ながら素晴らしい向上心である。
・洋館
この洋館は、如上の教会の続きである、と解釈されているが、そんなはずはない。グラフィックが、現実的になっているからだ。川と教会と同じで、これも元々は別の夢なのだろう。
自分は扉の前に立っている。見渡すと、洋館の階段には、レッドカーペットが敷かれていた。壁の窓は、すっかり真っ暗で、何も映っていない。頭上にはシャンデリアが下げられている。この館は、バイオハザードだ。アンチャーテッドから、ゲームが引き出され、そこからヴェイパーウェイブを連想し、さらにバイオハザードが導き出されたのかもしれない。
この館には犬がいる。サモエド。ゲームでは、ドーベルマンがゾンビになり、主人公を襲うが、それがサモエドに差し替えられている。サモエドは階段の上のカットから、急に机の上に乗せられている。机の上で、犬は解体されていた。その様子を見て、机の前で呆然としている私を、天井の梁のから、私が見ている。
・犬
まず、ある店が写る。日本のようだ。ガラスのウィンドが大きく、カーショップっぽいが寂れていて、店内はなにもない。にもかかわらず、従業員がいる。彼らは机を囲んで、バーベキューの計画をしている。
店長は不気味である。大きな黒縁眼鏡をしている、おでこの広い若い男で、七三別けは、ワックスでてらてらしている。体形は、標準よりほんの少し太っている。口は大きく、歯が見える笑みを浮かべている。彼はものすごく不気味であった。
店が映し出され、写真の中央に画像が浮かぶ。青い背景で寿司や、サラダが収められているが、途中途中、明らかに犬の肉が混ざってくる。これは、洋館で出てきたサモエドで間違いない。盛り付けは違和感なく、犬の頭に肉、そして手前に足が並べられていて、まるで鯛のお頭付きみたいだ。
バーべキューが始まると、店長が味付けした、銀のアルミホイルに乗せたせせりを持ってきてくれるのだが、これは犬の肉だ、と直感できる。なぜ分かったか、理由は不明だ。
最後に、参加者の男二人が、薄暗い地下駐車場でトランクを開ける。中にはバラバラになった、サモエドの死体があった。
・アトラクション
最後の夢は、全ての夢と気ほども繋がっていない。朝方に見た夢だと思う。この断絶を鑑みる限り、記憶にはないが、二度寝をしたのだろう。ハリーポッターのアトラクションに並んだりする。そして、施設内に入る。施設の廊下に差し掛かると、北極の場面が窓の外に広がっており、これはハリーポッターの一場面だとされている。廊下が水面を横に移動し始め、この夢は終了。
夢日記:サモエドと店長 高黄森哉 @kamikawa2001
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