瞳先輩と話すことができた余韻を味わっていると聞き覚えのある声が話しかけてきた


「どうでしたか?」


死神だ、元を考えればこいつが俺に一時間早く学校に行くように伝えてきたんだったな。

なんでコイツはそんなことを言ったんだ。

どうでしたか?の問いも不自然だ


「あぁ、死神か。どうって、いったい何のことだ」

「と~ぼけないでくださぁい。話したんでしょう?瞳と」

「な!?なんで、わかるんだ」

「やですねぇ、言ってるじゃないですか。死神…だからですよ」


始まった。こいつが時々言う『死神だから』はただの詭弁ではないのだろうか


「そんな道理が通ると思うのか」

「あははぁ、そんなに怖い顔でこちらを睨まないでください」

「話を逸らすな、なぜ僕が瞳先輩と話していたことがわかるんだ」

「本当はわかっていませんでしたが、遠目から見るあなたは気持ち悪いくらいに幸せのオーラが漂っていましたからねぇ」

「気持ち悪いなどとお前が言うか、というよりお前は僕に鎌をかけたのか?性格の悪い奴だな」

「気持ち悪いだなんて、ほんとにつくづく口が悪いですねぇ」

「いちいち癪に障ることを言うんじゃない」

「というより、急がなくてもいいんですか?始まりますよ授業」


またしても不気味な笑みを浮かべている、だがしかし授業のことは完全に忘れていた。まずい


「わかっているさ、だがお前が来たからこうして時間を食ってしまったんだろう」

「およ?少し動揺しているようにも思えましたが、どうやら、私の勘違いのようですねぇ」

「そんなわけないだろう、それでは僕はもう授業に行くからな」

「はいはい、またどこかで…」


そう言った別れ際に見せたコイツの顔はやはり不気味だった。


授業に向かうと狐の姿が見えない。あと数分で授業が始まってしまうが、今日は休みなのか?すこしお茶らけている部分もあるが根は真面目で休むことは滅多にないんだがな。

いつも、狐が隣にいることが多かったからなんだか、新鮮な気持ちだ。なんていえばいいか、わからない。

授業が終わると、一人の男が話しかけてきた。


「なあ、なんだが寂しそうな顔をしているな。狐に用があったんだが、狐は知らないか?お前、いつも一緒にいるよな?」

「え?あ、狐は今日は休みみたいだが…」


いきなり話しかけてきたこいつの名前は僕でも知っている。太陽だ。その名の通り、太陽のような輝きを常に放っているこいつはカーストのピラミッドで表すなら確実に先端部分に属している男だ。


「そうか、ごめんないきなり話しかけて。あ、自己紹介がまだだったな、俺は太陽って言うんだ」


わかっている、こちらでもお前の紹介をしていたところだ。


「知っているよ、君はいつも目立つ存在だからね。友達とはしゃいでいるところもよく見るよ」

「ん?あぁ!そうそう!知ってくれてるのか!嬉しいな、ありがとう」


阿呆なのか?皮肉に決まっているだろう。頬っぺたを歪ませニヘラと笑うな。脳みそ単細胞が。


「でも、困ったなあ。あいつ今日休みなのか…」

「狐に何の用があるんだ?」

「あぁ、あいつに借りていた漫画を返したくてな…あいつの家とか知らないからさ」

「狐の家なら、何回か行ったことあるから、僕が代わりに行こうか?」

「え?まじ!?いい奴だな!じゃあ、お願いしてもいいかな」


もとから僕に行かせるつもりだったろ。わかっているんだよこちとら。


「気にしないでくれ」

「本当にありがとうな、じゃあまたな!」




独りで食べるミルダマカレーはおいしくない…こともなくうまい。やはりこれが一番だ。狐がいないからなんだ。美味いものには変わりない


さて、今日の授業はもうない、気が向かないが今日は瞳先輩と話すことができたので気分が良い。狐の家に行くか。

前々から思ってはいたことだったが。狐は本当に顔が広いんだな。瞳先輩といい太陽といい、僕とは正反対のような人物たちと仲がいいように思う。なんで、狐は僕なんかに付きまとうのだろうか。

変な奴だ。


狐の家に行く前に風邪の場合を加味して少しの見舞いの品を買っていくことにした。


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死神曰く、寿命一年らしい @eeeIId

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