Hちゃん殺し?

@grrrrr

Hちゃん殺し?

 Hちゃんが、死んでしまいました。8歳になったばかりでした。

 偶に遊びに行くと、喜んで走ってきてくれたHちゃん。

 まだ幼いのにませていて、エミイみたいだったHちゃん。

 それが

 どうして? どうして居なくなってしまったの、Hちゃん?

 誰が、だれがHちゃんを殺したの?


 わたしはHちゃんを、殺したいほど、好きでした。

 いや、きっと、わたしはHちゃんを一度、殺している。

 一昨年の夏休みに海に行ったとき、わたしはHちゃんを、殺している。


 わたしに殺されても、Hちゃんはわたしに駆け寄ってきてくれました。

 わたしが「ごめんね」と謝っても、小首を傾げるだけだったHちゃん。

 わたしのことを「ママ」と呼んでしまい、恥ずかしそうだったHちゃん。

 そんな

 Hちゃんが、死んでしまいました。8歳になったばかりでした。

 誰が、だれがHちゃんを殺したの?


 先ず、爪を伸ばすのです。できるだけ、ながく、ながく。

 そしてその爪を、Hちゃんに見せながら、言いましょう。

 「溺死したのはわたしじゃない」

 Hちゃんは、にっこりと、微笑んでくれるはずです。


 Hちゃん。大好きなHちゃん。もうひとりの、わたし。

 きょうもあなたの幻を見たよ。

 あなたが死んでしまってから何日も、あなたの幻を見るんだよ。

 Hちゃん。

 Hちゃん。

 Hちゃん。

 

 Hちゃん。

 わたしは、おかしくなっちゃったのかな。

 今日もね、お母さんに言われたの。あなた最近おかしいって。

 お母さん、その後にね、「爪をちゃんと切りなさい」って言うんだよ。

 可笑しいよね。


 Hちゃん。わたしを赦してくれる?


 レトリックの為のレトリック


 かもしれないね。


 でもね、Hちゃん。


 わたしはきっとね、ずっと、あなたが大好きだよ。噓じゃないの。

 ごめんね。



 Hちゃんが、死んでしまいました。8歳になったばかりでした。

 誰が、だれがHちゃんを殺したの?



 わたしたちの無垢には、気の利いた音楽が欠けているんだね。

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