新春!カロン対抗ゲーム大会!——①
正月企画最後となるゲーム大会は、事前に予告されていた通りに有名FPSタイトルが選択された。
今から5年以上前にリリースされたゲームだが、大会tier表に乗り続けるほどの人気ぶりで今尚、リアル志向のプレイヤー達を魅了し続けている。
「全員のパソコンが無事起動したので早速始めていきたいと思います!」
ゲーム企画においても引き続きサクラが司会進行を務める。
「前回私たち【カロン】が出場したタッグイベントでも採用されたこちらのタイトル、気になるチーム分けはこちら!」
サクラの呼び声に合わせて配信画面が切り替わると、それぞれの顔とネームタグが左右に振り分けられた。
赤枠で囲まれた右側には伊織・みのり・紫月が、青枠で囲まれた左側にはサクラ・なぎさ・ことねと言った風である。
「他意はありません」
何か言いたげな目線をみのりから受け取ったサクラは先んじてそう言った。
「それ、こっちを見てから言ってよ」
察しの良い紫月はこのチーム編成の意図を読み取ったのか若干軽蔑の眼差しをサクラに向ける。
「えっと?どう言うことです?」
伊織がそう聞くとみのりは恨めしげに答えた。
「……身長」
【カロン】のメンバーも人間なのだから身長差がもちろん存在する。
ただ、グループ内での低身長組が平均身長よりも小さいことから何かとネタにされることが多くあったのだ。
「ほら、伊織さんも来たことですし、対等かなと」
「どの辺が対等か詳しく聞きたいんだけど」
「人数的に?」
「……ふんっ!」
珍しく大きく拗ねる紫月を伊織が慰める。
「……伊織はなんともないんだね」
「いえ、そのぉ……ダメージはあります」
そう言って伊織もがっくり肩を下げる。
因みに、彼の身長はギリギリ160(自称)である。
「えっと、伊織さんにはちょっと申し訳ないです」
「む、私らは良いんだ」
みのりも余る袖で腕組みをしそっぽを向く。
「あーあ、いっくんたち泣かせた〜」
なぎさは頭の後ろで手を組み後ろ指を指す。
「ほらえっと、陣営の選択権をあげますから……ね?」
「ん。なら攻撃で」
「……わかりました」
流石に武が悪くなったサクラはゲームの重要ポイントである陣営選択権を赤側である伊織らに譲った。
「ルールはいつも通り“爆弾”で良いですよね?」
サクラの言葉に各々相槌で返す。
様々なゲームルールの中選択された爆弾は、このゲームの中で最もスタンダードなルールとなっている。
ステージにはカウントダウンに入った爆弾が設置されていて、それを解除・防衛すると言ったものである。
今回の場合、攻撃側である伊織ら赤チームが建物に侵入し、様々な妨害を切り抜け爆弾を発見・解除する役だ。
逆に、サクラら青チームは守備、爆弾の防衛を担当する。爆弾の位置から敵の侵入路を予想しトラップ等を仕掛けて敵を待ち構えるのだ。
と言っても、双方が生存した状態での爆弾解除は難しく、どの大会でも9割方殲滅戦となる。
もちろん、ずっと同じと陣営ということはなく、一定ラウンドが過ぎれば攻撃側と防衛側が入れ替わる。
今回、みのりが選択したのは“先にどちらの陣営でプレイするか”といったものになる。
「私、防衛側苦手なんですよねぇ……」
そう溢しながらサクラは着々とゲームを用意する。
本来、このゲームは5vs5計10人でプレイするものなので、人数が少ない今回は一番狭いステージとなる。
「さてと、ゲームの準備が整いましたよ!」
「伊織君と対戦するの楽しみだわ〜」
ことねが言ったことに【カロン】全員が頷いた。
「確かにいっくんとは一緒にプレイしたことがあるけど、数回程度だったし、なんだったら別タイトルだったからねー」
:伊織くんのプレイ楽しみ!
:見せてもらおうか、新マネージャーの実力とやらを!
コメント欄も総じて最後の企画に盛り上がりを見せている。
「それでは皆さん!準備が完了次第”ready”をお願いします!」
最後の企画が今、始まる。
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またもや投稿が空いてしまい申し訳ございません。
連載当時、時間軸をリンクさせるつもりだった本作、一周回って追いつかれてしまうことに戦慄しています......
ブラックなプロゲーマーチームのマネージャーだった僕は美少女配信者グループに引き抜かれる!? 雪代ゆき @yukiyayoi01
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